議事概要

第10回(平成28年度第2回)都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト運営委員会
開催日時 平成29年2月28日(火) 13:30~17:30
開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

議事次第

[1] 報告

・開催の挨拶(武村)

・配付資料の確認(事務局)

・出席者の確認(事務局)【都28-2-1】

・前回議事録の確認(事務局)【都28-2-2】

・文部科学省挨拶・予算の説明(文部科学省)【都28-2-3】

・地震研究所共同利用・特定共同研究の登録(平田)【都28-2-4】

[2] 議事

研究計画 (平成26年度の進捗状況と平成27年度の実施計画)

1.南関東の地震像の解明

a.首都圏での地震発生過程の解明(地震研、酒井)【都28-2-5】

b.プレート構造・変形過程と地震発生過程の解明(地震研、佐藤)【都28-2-6】

c.首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明(地震研、佐竹)【都28-2-7】

d.首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立(地震研、鶴岡)【都28-2-8】

2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発(地震研、堀)【都28-2-9】

3.サブプロジェクト①の管理・運営(地震研、平田)【都28-2-10】

4.統括委員会によるプロジェクト全体の運営(地震研、平田)【都28-2-11】

5.サブプロジェクト間の連携について(地震研、平田)【都28-2-12】

[3] その他

・最終成果報告会について(地震研、平田)【都28-2-13】

・総評

配布資料一覧

都28-2-1 出席者リスト

都28-2-2 前回議事録

都28-2-3 文部科学省資料

都28-2-4 地震研究所共同利用・特定共同研究の登録

都28-2-5 首都圏での地震発生過程の解明

都28-2-6 プレート構造・変形過程と地震発生過程の解明

都28-2-7 首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明

都28-2-8 首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立

都28-2-9 観測に基づく都市の地震被害評価後術の開発

都28-2-10 サブプロジェクト①の管理・運営

都28-2-11 統括委員会によるプロジェクト全体の運営

都28-2-12 サブプロジェクト間の連携について

都28-2-13 最終成果報告会について

出席者

委員

1.研究実施機関研究者

東京大学地震研究所 教授 平田 直

東京大学地震研究所 教授 佐藤 比呂志

東京大学地震研究所 教授 佐竹 健治

東京大学地震研究所 准教授 鶴岡 弘

東京大学地震研究所 教授 堀 宗朗

東京大学地震研究所 准教授 酒井 慎一

2.再委託先機関研究者

神奈川県温泉地学研究所 主任研究員 本多 亮

防災科学技術研究所 主任研究員 木村 尚紀

横浜国立大学 教授 石川 正弘

3.上記以外の有識者

(委員長)

名古屋大学減災連携研究センター 教授 武村 雅之

(委員)

国土交通省 国土地理院 主任研究官 水藤 尚

気象庁 地震火山部管理課 地震情報企画官 中村 浩二

地震予知総合研究振興会 副首席主任研究員 笠原 敬司

東京都総務局 防災計画担当部長 小林 忠雄

オブザーバー

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室長 松室 寛治

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室長補佐 田中 大和

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室 行政調査員 武田 哲也

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室 調査員 渋谷 昌彦

(再委託先等)

東京都総務局 防災専門員 萩原 弘子

東京都総務局 総合防災部防災計画課 課長代理(計画調整担当) 仲 修平

東京都総務局総合防災部防災計画課計画調整担当 主事 中園 誠人

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所 准教授 長尾 大道

東京大学地震研究所 准教授 加藤 愛太郎

東京大学地震研究所 准教授 石山 達也

東京大学地震研究所 助教授 西山 昭仁

東京大学地震研究所 特任研究員 村岸 純

東京大学地震研究所 特任研究員 パナヨトプロス・ヤニス

東京大学地震研究所 特任研究員 中村 亮一

東京大学地震研究所 特任研究員 橋間 昭徳

東京大学地震研究所 特任研究員 横井 佐代子

東京大学地震研究所 特任研究員 加納 将行

東京大学地震研究所研究支援チーム 係長 水津 知成

東京大学地震研究所研究支援事務室 室長 中塚 数夫

議事録

〔報告〕

・武村委員長より開会の挨拶があった。

・事務局から配布資料の確認があった。また資料【都28-2-1】に基づき出席者の確認が行われた。その後、資料【都28-2-2】に基づき前回議事録の確認依頼があった。

・文部科学省松室室長から挨拶があった。

・平田委員より資料【都28-2-4】に基づき、地震研究所共同利用・特定共同研究の登録について説明があった。

〔議事〕

研究計画(平成28年度の実施計画)

1.南関東の地震像の解明

・酒井委員、本多委員ならびに木村委員から資料【都28-2-5】に基づき、「a. 首都圏での地震発生過程の解明」について説明があった。

・首都圏直下の速度構造について、武村委員長より、低速の領域で地震がないのはもっともらしいが、何がそうさせているのかとの質問があった。これに対し、酒井委員より、色々な可能性があるが、1bの研究とも合わせて岩石や水、クラックの影響を調べ一つ一つ精査する必要があるとの回答があった。

・首都圏南西部の地震分布について、武村委員長より、丹沢付近の東経139度をはさむ2つのクラスターの深さは変わるのかという質問があった。これに対し、本多委員より、西の方が少し深いのだが、その理由はまだ説明しきれず、今後の課題であるという回答があった。

・首都圏を含む関東広域の地震に関して、加藤委員より、変換波の振幅についてどのような不均質構造を仮定したのかという質問があった。これに対し、木村委員から、振幅と合うように、プレート境界の下のグリッド間隔よりも薄い部分を元々の地震波トモグラフィーモデルより2–3%速度低下させたという回答があった。

・武村委員長より、東経139度付近の伊豆半島北部の剪断領域の北の延長部分について深いところで横ずれの大きい地震がおこる可能性はあるのか、という質問があった。これに対し、本多委員から東北沖地震の後に地震が起こっているので、何らかの構造があるのかもしれないという回答があった。笠原委員より、(フィリピン海プレートが)沈み込む前に切れている可能性があるとのコメントがあった。

・佐藤委員ならびに石川委員から資料【都28-2-6】に基づき、「b. プレート構造・変形過程と地震発生過程の解明」について説明があった。

・武村委員長より、フィリピン海プレート上面におけるクーロン応力の増大は関東地震の発生を早めるということなのかという質問があった。これに対し、橋間オブザーバーから、この計算は東北沖地震の影響についての計算であり、関東地震の発生を予測するためにはフィリピン海プレートの沈み込みを考慮する必要があるという回答があった。平田委員から、この結果は中小の地震の増加とは調和的であるというコメントがあった。

・平田委員から、内陸断層の結果が地震調査委員会による東北沖地震直後の内陸断層の活動性評価と異なるのは、断層形状の仮定が異なるからではないかとのコメントがあった。佐藤委員から、立川断層の形状に関しては、地震調査委員会と異なる見解に基づいているという回答があった。

・平田委員より、(プレート境界に接する領域の)四万十帯に相当する石英質岩体の存在は地質学的に予想されていたのかという質問があった。石川委員より、地表の地質と対応しているという回答があった。さらに石川委員より、この四万十帯の領域は佐藤委員による以前の探査で下部地殻とされていたということ、また、新井氏(現JAMSTEC所属)による構造モデルを用いると対応する領域ではP波速度が高くなっていて解釈が難しくなる、とのコメントがあった。

・佐竹委員ならびに中村オブザーバーから資料【都28-2-7】に基づき、「c. 首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明」について説明があった。

・安政江戸地震の震源像の解明について、武村委員長より、近地における震度分布のシミュレーションの仮想震源は、1bで得られた蛇紋岩の分布と整合的であるかとの質問があった。中村オブザーバーより、この例はフィリピン海プレート内部であり、蛇紋岩はもう少し北側に存在するのではないか、との回答があった。引き続き、武村委員長より、そこに震央がないと“くびれ”ができないのかという質問があった。これに対し、中村オブザーバーから、もう少し広い範囲でもくびれが生じると回答があった。平田委員から、まだ詳細な減衰構造を考慮するなど検討の余地はあるものの、かなり安政江戸地震の震源像に迫った、とコメントがあった。

・鶴岡委員から資料【都28-2-8】に基づき、「d. 首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立」について説明があった。

・笠原委員より、1980年ごろのコンプリートネスマグニチュード(以下Mc)が異常に大きいのはなぜかとの質問があった。鶴岡委員より、作図の問題で本来除去して表示すべきものであるとの回答があった。

・平田委員より、マグニチュード6の事前予測は検証したかとの質問があり、鶴岡委員よりその通りであるとの回答があった。

・武村委員長より、検証ができないときに学習期間をどう選ぶかという質問があった。鶴岡委員より、Mcを見積もってそれ以上のデータをできるだけ長期間使えば、最低限この程度の情報利得が保証されるという主張ができる、との回答があった。

・加藤委員より、背景の地震活動とb値の分布から地震活動の予測を示していたが、基本的にはb値が小さくて背景の地震活動が大きい場所の地震発生確率が大きいという考え方でいいのか、との質問があった。鶴岡委員より、その通りである、これはETASモデルを用いて経験的に与えた結果である、との回答があった。

・平田委員より、開発したモデルは、過去のデータを用いた地震活動予測結果が外れたわけではないということは最低限主張できるものである、とのコメントがあった。

・平田委員より、情報利得が1大きいというのはどういう意味か、という質問があった。鶴岡委員より、確率が2.7倍大きくなるという意味である、本結果だと2.5程度の情報利得があるので10倍程度確率が大きくなるとの回答があった。

2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発

・堀委員から資料【都28-2-9】に基づき、「2. 観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発」について説明があった。

武村委員長より、東京都から頂いた建物の性状のデータがあると思うがそれは用いないのかとの質問があった。堀委員より、頂いたデータは木造・RC造・SRC造の建物の割合なので、まずは建物の性状が詳細に分かっている古川地区を例にして開発手法を検証した、東京都のデータも入力すれば結果が出力できる状態ではある、ただし被害推定結果の解釈はデータの精度に依存するので注意が必要であるとの回答があった。東京都の小林委員より、被害想定は様々な部局の方が関心のある内容なので、是非進めて行ってほしいとのコメントがあった。

3.サブプロジェクト①の管理・運営

・酒井委員から資料【都28-2-10】に基づき、サブプロジェクト①の管理・運営について説明があった。

4.統括委員会によるプロジェクト全体の運営

・酒井委員から資料【都28-2-11】に基づき、統括委員会によるプロジェクト全体の運営について説明があった。

5.サブプロジェクト間の連携について

・酒井委員から資料【都28-2-12】に基づき、サブプロジェクト間の連携について説明があった。

[3]その他

・最終成果報告会について

・渋谷オブザーバーから資料【都28-2-13】に基づき、最終成果報告会について説明があった。

・総評

・小林委員より、高速道路やライフラインなどのメンテナンスに寄与できるよう地震被害評価技術が誰もが使える形になればよいと思う。また、地震のメカニズムの解析はぜひ続けていただき、一定のタイミングで一般人向けに分かりやすく伝えていただければ、地震の多い大都市に住むということに対する心構えみたいなものが理解できてよいと思う、とのコメントがあった。

・笠原委員より、個人的には昔自身が提唱した関東地域のテクトニクスの特徴が概ね間違っていないと分かってよかった。今後は東京オリンピックに向けて、地震の情報をどのように“見える化”していくか考えていかないといけないと思う、とのコメントがあった。

・水藤委員より、何回か聞いていると徐々に内容が分かるようになってきた。背景知識がそれぞれ異なるので理解ができる課題と、理解しきれない課題がある。皆さんが同じように理解できるように均して報告いただけるとよいのかと思う、とのコメントがあった。

・文部科学省松室室長より、次期プロジェクトでも本プロジェクト5年間の成果をさらに発展させていきたい。次期プロジェクトでは、MeSO-netに加え防災科研のK-NET、KiK-net、さらには民間のデータも加えることで、より精緻な地震動に関する情報や被害予測が提供できるのではないかと考えている、とのコメントがあった。

・武村委員長より、私自身は関東大震災の研究をずっとやってきたので、関東の地震に関する知識が深まって感謝している。役に立つ研究はそこで終わるが、理学的研究のように本質を極めようとすると役に立たない部分もたくさんある、研究をやりつくせるのは理学系しかないので、そのようなスタンスで研究を続けてもらえればと思う、次期プロジェクトでもいい成果がでることを期待している、とのコメントがあった。

[閉会]

・武村委員長から挨拶があり、閉会した。