"重力場の時空間変動からよみとる,火山活動の推移(4)

−地殻変動は停滞.静穏化の兆し−"

(重力測定グループ:大久保修平、古屋正人、孫文科、渡辺秀文,坂上実

文責:大久保 okubo@eri.u-tokyo.ac.jp)


下の図は,2000年10月20日から11月20日にかけての1ヶ月間の重力変化を表したものです.測定精度(プラスマイナス10マイクロガル)を超えるような,有意な変動は見られませんでした.

10月までは,島の北東部から南西に向かう軸を対称軸としたバタフライ(蝶々)のような,変動がはっきりと見えていました(2000年9月−10月の変動2000年7月−9月の変動(山頂陥没の影響を除去した結果).したがって,10月中旬まで続いていた地殻変動(ダイク閉口)がついに停止し,静穏化の兆しといえるかもしれません.7月初旬に観測を開始して以来,測定のたびに大規模な変動(50マイクロガルを常に上回る)が検出されてきたことを考えると,「顕著な重力変化なし」ということ自体がビッグニュースかもしれません.

注意事項) 11月になってレストハウスでの観測が許されましたが,10月には危険なため接近が許可されませんでした.そのため,山頂付近での重力時間変化は不明です(残念!).山頂付近でも変動が停滞していることが確認されるかどうかが,最大のポイントです.これは次回の測定(12月中旬の予定)で,明らかになると思われます.