地震波干渉法

地球は地震以外の現象により常に揺れています。たとえば海洋波浪によって、地球は周期10秒ほどで揺れ続けていることが知られています。 脈動と呼ばれる現象です。海洋の広い領域で常に地震波が励起されているため、波はでたらめに伝わっているように見えます。一見そこから地震波速度構造を調べることは難しいように思えます。しかし、観測記録の相互相関を計算するという単純な統計操作により、観測点間の波の伝わり方を調べることが出来ます。地震波干渉法と呼ばれる手法です。以下、単純な例を元に説明してきます。

相互相関関数: 1カ所に励起源がある場合

そのまま左クリックすると、クリックした場所で地震の位置を指定できます。 "s"を押すと波が発生します。図では速度波形を表しており、Green関数の時間微分に対応します。 青色は正の速度を表し、赤色は負の速度を表します。また、 ふたつの観測点での波形も同時に表示され(図右下)、 その相互相関関数が図右上に表示されます(例えば12は観測点1と観測点2での波形の相互相関を表します)。 相互相関関数のピークは2つの波形の走時差を表していることが見て取れます。

相互相関: 多くの励起源がある場合

観測点1-5を円形で囲むように励起源を配置しています。各点(100点ほど)がランダムに 媒質を"叩いている"と仮定します。"r"を押すとランダムに地震波が発生し、外側と中心への2方向伝播している様子が分かります。

10分ほど計算を続けると相互相関関数に、インパルス的なものが見えてきます。観測点1から観測点5へ向かって伝播する波と、逆に観測点5から観測点1に向かって波が伝播するようすが分かります。あたかも観測点1で地震が起こり、他の観測点で地震波計記録を記録しているかのようです。そのため、相互相関関数を地震波形と見立てて、地震学的な手法を適応することが可能となります。

図1