2.2.3 地震,地殻変動等の最先端観測や新しい観測の試み

(1) 南アフリカ鉱山における半制御地震発生実験

東北大・立命館大等と共同で,地下数kmに大規模な平板状採掘空洞ができることで周囲の岩盤に高い差応力がかかる南アフリカの金鉱山において,半径100m程度の領域でMw -4以下までの微小破壊をモニタし,地質断層面上の微小な不安定滑りの定常的な活動を見出した.1.4 - 2程度の非常に高いb値をもち,採掘前線直近のインタクトな岩盤中に体積的に分布しておこる微小破壊が,より自然地震に近いb = 1.2を示すのと対照的である.また,地質断層面内に活動域が新たに現われ,準静的に20 m以上にまで拡大した例も発見した (図7).

(2) GNSSを利用した新技術の開発

我々は1996年頃より産学連携研究によって GNSS津波計の開発を行ってきた.この GNSSブイにより,2011年東北地方太平洋沖地震による津波記録を取得することに成功した(図8).現在このシステムは室戸市の南方沖約 40km のところに設置され,さらなる遠洋でのリアルタイム監視の技術開発を続けている.

また別のGNSSの応用技術として,2010年度には,GNSSの高頻度サンプリングによる地震計としての活用可能性を検証するために, 50 Hzの GPS 観測を3か所において開始した.このような高頻度サンプリングによる GNSS 観測により,震度5強を記録した2013年9月20日福島県浜通りの地震による地震動を取得することに成功した(図9).