地面のゆれを聴いてみよう
地面の“ゆれ”と聞くと、地震を思い浮かべるとおもいます。
しかし、地球は地震が起きてない間もゆれ続けています。
海の波、隕石落下時の音など色々な現象が地球をゆすっているのです。
これら地震以外の、ぶつぶつとした独り言のような地面の“ゆれ”も、
地震計はしっかりと記録しています。
この講演では、地震計記録を早回しにして音に変え、その素性を読み解いていきます。
まずは周期の短い“ゆれ”から聴いていきましょう。
周期が0.1秒より短いと、そのまま音として聴くことができます。
地震の場合は地鳴りがこれに当たります。都市部にある地震計では人間活動を記録します。
変わったところでは、海底地震計にはクジラの鳴き声がたびたび記録されています。
地震計を使ってクジラの生態に迫ろうという研究者も現れました。
大気も地球を揺すっている
地面は大気の振動によっても揺すられています。
例えば、地震計は隕石落下時の衝撃波による地面の“ゆれ”も記録します。
2013年にはチェリャビンスク州(ロシア)の隕石落下時の“ゆれ”が、実際に地震計で捕らえられました。
また火山の噴火時の空振と呼ばれる低周波音も、たびたび地震計で捉えられています。
桜島や新燃岳の噴火にともなう空振は記憶に新しいと思います。
地震計は、隕石の落下や火山の噴火など多様な情報も含んでいるのです。
海の波も地球を揺すっている
もう少しゆっくりとした“ゆれ”に注目してみましょう。
実は地球は地震や火山噴火、隕石の落下など特別な事がなくても、常に波であふれています。
地震が起きていない間も、地球は海の波に常に揺すられていて、
あたかも貧乏揺すりのように揺れ続けているのです。
この貧乏揺すりは人間には感じられない周期 5~500秒のゆっくりとした振動で、
365日いつでもどこでも観測されています。
海から遠く離れた大陸の真ん中に設置された地震計にも、はっきりとその“ゆれ”は記録されています。
海から遠く離れた地震計の記録からも、海の荒れ具合を知ることが出来るのです。
しかし海の波がどのように地球を揺らしているのか、
その完全な理解からはまだ遠く、現在も活発に研究されています。
地震波は地球をグルグル廻る
“ゆれ”の周期も200秒より長くなってくると、
グルグルと地球を何周も伝わるようになります(地球自由振動と呼ばれています)。
釣り鐘を叩いた事を想像してみて下さい。
鐘にはそれぞれ音色があるように、地球にも固有の音色が存在します。
その音色は、地球内部の固さを反映しています。
実際にこの“ゆれ”(地球自由振動)が観測されたのは、1960年のチリ地震が始めての事でした。
それ以降地球自由振動の観測例は蓄積されており、
その音色から地球内部構造を推定する研究がさかんに行われてきました。
また先に述べたように、ここ15年ほどで、
地震だけではなく海の波もゆっくりと地球を揺すっている事が分かってきました。
この地震以外のゆっくりとした“ゆれ”を使って地球内部を探る試みも始まっています。
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