八つの計画推進部会

地震先行現象・地震活動評価先行現象評価による地震活動予測

大量の観測データを用いて統計的に意味のある地震先行現象を見いだす研究と地震先行現象の発生機構解明のための研究を実施しています。大きな地震がいつ、どこで発生するかが事前に分かれば対策が立てやすくなります。多くの方が期待する「地震予知」は、このようなものだと思います。大地震が発生する時期と場所を精度良く予測するのは簡単なことではありませんが、これを目指した研究を行っています。

これまでに大地震に先行した様々な異常現象が報告されてきました。例えば、前震、地震活動の一時的な低下、地殻変動、地下水の異常、電磁気現象などです。地震は、発生する場所によって性質が異なり、特に大きい地震は発生頻度が高くないので、地震に先行する現象の再現性の科学的評価は困難を伴います。近年の観測網の整備により、地震や地殻変動などの大量のデータを扱えるようになってきました。この大量のデータを使って、大地震発生前に観測される異常現象の確からしさを統計的に評価する研究を進めています。特に地震活動については、世界的に地震データの質と量が向上しているので、国際的な共同研究として地震活動の評価と予測を目指した研究に取り組んでいます。地震活動の予測性能の評価基準を設定した上で、地震活動予測モデルを開発し、予測性能が優れるモデルを見つけようとしています。

地震先行現象の発生機構の解明においては、科学的に信頼できる先行現象を見いだすために、物理モデルに基づいた数値シミュレーションにより地震発生に先行する現象を調べて観測データと比較したり、岩石破壊実験で破壊に先行する現象を調べたりする研究を行っています。

  • 部会長:中谷 正生(東京大学地震研究所)
  • 副部会長:長尾 年恭(東海大学海洋研究所)

地震動・津波等の事前予測・即時予測地震、火山噴火後の災害誘因予測

現在では、地震波や津波の伝播はコンピューターで精度良く計算できるようになり、地震の震源の性質や地震波伝播経路の構造などの理解が深まるほど、より良い地震動や津波の予測が可能になります。また、人工衛星のデータなどを使って空中の火山灰の状況を正確に把握できるようになっているため、これを降灰の予測に役立てるための研究が進められています。

地震は地下で断層が急激にずれることにより発生します。断層のずれそのものについては別部会で研究が進んでいますが、本部会では、断層のずれにより発生する地震動や津波に着目しています。また、火山噴火の場合も、噴火メカニズムの解明は別部会で研究が進んでいますが、火山噴火によって発生する火砕流・溶岩流・降灰の予測が災害軽減に役に立ちます。

「地震が発生する前に」地震動や津波をより正確に予測するためには、過去に発生した大地震などから、どこでどのような地震が発生するかを明らかにすることが必要です。さらに、震源から地震波や津波が伝播する過程や、地表近くでの地震波の増幅や海岸近くでの津波の挙動を知る必要があります。さらに「地震発生後直ちに」震源の特性を推定できれば、地震動や津波の到達前に、より正確な地震動や津波の予測が可能になります。例えば、最近は海岸だけでなく沖合にも津波計が設置されていますから、そのデータを津波予測の精度向上に役立てる研究は重要です。

火山噴火による広域かつ長期間にわたる影響としては、火山灰による人々の生活支障・健康被害や飛行機などの交通途絶が知られています。気象の影響をより正確に評価して、降灰の予測精度を向上させる研究が行われています。

  • 部会長:香川 敬生(鳥取大学大学院工学研究科)
  • 副部会長:太田 雄策(東北大学大学院理学研究科)