大学院受験生のみなさんへ

      
                      川勝 均
(海半球センター・グローバル地震学)

ガイダンス資料 2018日経新聞(2017/8/21) 東大新聞(2009年5月19日)
「グローバル地震学」という言葉は,それほど深い意味もなく, どのような問題にも「グローバルな視点を持って」というような象徴的な意味である. 空間的スケールが小さな問題を扱っていても「グローバル」であり得るし, 逆に地球全体の問題を扱っているはずなのに視点が非常に狭い研究もあり得る. 面白いと思ったことをやるというのが基本姿勢で, 「何か新しいことを見つけたい」というような意欲のある人大歓迎.

現在特に力を入れている研究テーマは:

(1)地球内部を覗く:  星の瞬きを見て宇宙に思いをはせるように, 地震波の揺らぎから地球内部に思いをはせるという世界. 深部の不連続面の地震学的な性質を明らかにし, 地球のダイナミクスを考える,などなど... 夢見がちな人大歓迎
(関連解説記事: 「 地球深部望遠鏡としての日本列島 」; 「 見えてきた地球中心核の不均質構造」)
★最近の中心テーマ:
- 太平洋アレイ
- 地球内部への水輸送の定量化
- スタグナント・スラブのダイナミクス

(2)フロンティア観測 <<海の底から,地の果てから>> 地球内部を覗く:  研究室で待っているだけでは観たい地球は見えません. 内モンゴル(中国東北部)や深海底に新しい観測網をつくって, 誰もが知りたがっているけれど,誰も知らないこと の答えをさがします. 向こうみずな人大歓迎. (関連解説記事: 「 海底に巨大ミルフィーユ」, 「フロンティア地球観測」)
★最近の中心テーマ:
-「ふつうの海洋マントル」プロジェクト
- NECESSArray計画:中国大陸からみる地球内部ダイナミクス
-「プレートの底」の話

(3)地球活動のモニタリング: 地球は“生きて”いる. その現われである「地震」を解析し, 地球の動的状態の「今」を把握する.地震を起こす原因には, (弾性歪みエネルギー・重力エネルギー・応力勾配)の解放があり, 普通の「断層運動の地震」はその一部にすぎない.関東・日本・海半球・全地球の 異なったスケールのネットワークの波形データをリアルタイムにモニターし, 地球の中で何が起こっているのか,その今を知る. 様々なスケールでの地球活動の リアルタイム・モニタリングは原理的に可能である. 今に興味のある人大歓迎
★最近の中心テーマ:
- GRiD MT
- 南海道NECESSArray
- Realtime Back Projection

(4) 青い地球の地震学 :  いわゆる地震学は,地球の固体部分に焦点をあて,固体の振動(地震波)を 解析することで,地震破壊の様子や地球の内部構造を明らかにする研究分野です. しかし大気や海洋の運動が地球を常に揺らしているという「地球常時自由振動」が 日本の研究者によって発見されるにつけ,流体地球(海洋・大気・電離層)を 含む全地球("青い地球")を地震学の研究対象にすべく新たな試みが始まっています. 未知を目指す人大歓迎
★最近の中心テーマ:
-地震以外の“揺れ”から探る地球内部構造

(5)地震波で火山も覗く: 長いこと地震の波ばかり見てきたせいか, 火山活動が励起する地震波の不思議さに魅せられ,この10数年火山での観測を行っている. 今までのふつうの観測と違う点は,長周期(> 1秒)の波も観測できる「広帯域地震計」を 使った観測であること.このような地震計を使うととんでも無いものが見えたりする.例えば, 桜島で火山の観測をしていたら 阿蘇山の活動が見えた! 阿蘇山での観測は,現在も続いている. 阿蘇山や他の火山で観測をしたい人大歓迎
★最近の中心テーマ:
- 火山流体のモニタリングと深部マグマ上昇メカニズムの解明

(6)ピーナッツの地球科学への応用:  ユーモアのある人大歓迎

(7) 指導学生

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