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連絡先/JST CRESTインテリジェント地震波動解析(iSeisBayes)事務局

〒113-0032
東京都文京区弥生1-1-1
東京大学地震研究所

プロジェクト概要(研究概要)

本研究課題の概要

わが国では,千点を超える定常地震観測点による高精度地震計測データが,常時収集されています。さらにこれに加えて,各建造物,ライフライン,スマートフォン等が持つ振動計のデータを活用した,次世代の地震計測ビッグデータベースが構築されつつあります。これらを地震防災・減災や地震現象の解明に向けて最大限に活かすためには,時々刻々と入力する超大容量の地震計測データを効率よく解析し,多様な地震に関する情報を余すところなく抽出するための手法開発を,今から始めなければなりません。 本研究では,東京大学地震研究所,東京大学大学院情報理工学系研究科,東北大学大学院工学研究科に所属する,わが国を代表する地震学と統計学の専門家が協働し,最先端のベイズ統計学を武器に,今まさに到来しようとしている地震ビッグデータ時代に向けた「インテリジェント地震波動解析」のアルゴリズムの開発に立ち向かい,地震防災・減災や地震現象の理解を飛躍的に深化させます。

本研究課題の先駆性・独創性・挑戦性

地震計測ビッグデータベースには,異なるシグナル対ノイズ比およびノイズ特性を持つ,数千万点の多種多様なセンサーによって得られたデータが含まれています。このような「玉石混交」のデータから,極めて広い時空間分布を持つ固体地球起源の振動現象に関する情報を余すことなく抽出するため,本研究では,これまでの地震計測データ解析手法に,データアダプティブに着目すべき時空間領域を自動探索するオートフォーカス機能を実装します。 このような大容量データから本質的な情報を抽出するための統計学的解析手法の開発を行う本研究は,まさにJST CREST「情報計測」研究領域の戦略目標に合致しています。多様な振動現象を包括的に解析する「インテリジェント地震波動解析」は,これまでの地震学分野にはない独創的なものであり,また観測点密度の急激な増大によって得られる空間情報を最大限に活かす高次元状態空間モデルの導入も,国際的に見ても極めて先駆的です。

本研究課題がもたらすインパクトと将来像

地震学と統計学の専門家集団によって地震研究の根幹をなす手法の開発を実施する本課題は,地震発生メカニズムの理解に飛躍的進展をもたらし,地震研究に対する期待と要請が高い日本社会へ大きなインパクトをもたらすと考えられます。「インテリジェント地震波動解析」手法は,地震・火山活動を24時間365日絶え間なく時空間可視化するリアルタイム監視システムに組み込まれ,将来の日本の災害予測や防災・減災に役立つでしょう。