"重力場の時空間変動からよみとる,火山活動の推移(5)

−地殻変動の大幅な減少傾向が続く.−"

(重力測定グループ:大久保修平、古屋正人、孫文科、渡辺秀文,坂上実

文責:大久保 okubo@eri.u-tokyo.ac.jp)


下の図は,2000年11月20日から12月20日にかけての1ヶ月間の重力変化を表したものです.

測定精度(プラスマイナス10マイクロガル)を超えるような,有意な変動はほとんど見られませんでした.

とくに山頂に近いレストハウスでの変動も2マイクロガルの減少にとどまっていることが注目されます.

2000年10月−11月の変動も有意な変化は認められていないので,地殻変動の停滞傾向は定着したものと

考えられます.ただし,完全に停止したわけではありません.これは過去2ヶ月分(1ヶ月ではなくて)の変動(下の図)を見るとわかります.10月までに見えていた,島の北東部から南西に向かう軸を対称軸としたバタフライ(蝶々)のような変動(2000年9月−10月の変動2000年7月−9月の変動(山頂陥没の影響を除去した結果)の残照のような変動パターンが認められます.ダイクの閉口は速度としては1/5から1/10ぐらいに減少しつつも,継続はしているようです.