2.1.2 火山現象の研究

(1)火道流のダイナミックス

火道中のマグマ上昇モデルに基づいて,マグマの噴出率とマグマの性質および地質条件(火口の形状,火道の径,マグマ溜りの深さ)の関係を理論的に解析した.また,結晶化,気泡の核形成・成長の影響,気相の過剰圧力,火道からの脱ガス過程を考慮した火道流モデルを開発し,非爆発的噴火から爆発的噴火への遷移過程や溶岩ドーム噴火における噴出率の変動現象を再現した(動画1).また,気泡を含む高粘性マグマの衝撃波管問題に対する理論的研究を衝撃波実験結果に適用し,マグマの破砕基準などの火道流の物理素過程の研究を進めている.

(2)火山噴煙・火砕流のダイナミックス

火山噴煙のダイナミックスを支配する乱流混合過程を精密に再現する3次元数値モデルを開発し,火口における衝撃波・膨張波の発生や乱流混合の効率が火砕流発生条件や傘型噴煙の拡大過程に与える影響について系統的に調べた.また,上記モデルを風がある条件や固体粒子を含む場合に拡張し,霧島新燃岳2011年の噴火における噴煙の挙動や降下火砕物の運搬・堆積過程を再現した(図3) (動画 2).また,噴煙の渦の挙動に関する数値計算結果に基づいて,桜島火山の噴煙の上昇速度を目視によって高精度に決定する手法を提案した.