日本海の形成は,日本列島の誕生と密接に関わっていますが,その形成プロセスには諸説あり,確かなことはわかっていません.海底地震計のデータを解析し,海洋プレートのリソスフェア構造を調べることで,日本海の形成史を明らかにすることを目指しています.
文部科学省委託研究「日本海津波・地震調査プロジェクト」の一環として,2013年度から2016年度にかけて,大和海盆に海底地震計が設置されました.現在はこのデータを解析中です.2017年度からは,日本海盆での観測を開始しました.最初のデータが2018年度に回収される予定です.
図1.海底地震計による自然地震観測網
海洋プレートの最も基本的な特徴量は,プレートの厚さです.プレートの厚さを知ることは,プレートの温度構造や形成過程を推測するための手がかりになります.さらに,日本海の場合は,地震発生のリスクを知るための,モデルづくりに役立つことが期待されます.プレートの底部はリソスフェア・アセノスフェア境界と呼ばれていて,岩石の硬さ(≒地震波伝播速度)が大きく変わると考えられています.リソスフェア・アセノスフェア境界で反射・変換される地震波を,海底地震計のデータから抽出することを目指しています.