スロー地震学

スロー地震学 - 低速変形から高速すべりまでの地震現象の統一的理解に向けて

領域概要B02 地質班(課題番号 JP16H06476)
スロー地震の地質学的描像と摩擦・水理特性の解明代表:筑波大学 生命環境系 氏家 恒太郎

  1. 総括・国際班
  2. A01
  3. A02
  4. B01
  5. B02
  6. C01
  7. C02

研究目的

地殻変動・地震観測網により、断層がゆっくりすべることで発生するスロー地震が、世界各地のプレート沈み込み帯から見出されてきた。しかし、スロー地震を引き起こす物質や低速変形の実態は分かっていない。また、スロー地震の発生挙動を決定づける摩擦・水理特性の検討も進んでいない。本研究では、スロー地震発生深度で形成された付加体・変成岩の地質調査及びスロー地震発生域での掘削を基に、スロー地震の地質学的描像を導き出す。また、地質・模擬試料を用いた摩擦・透水実験を行い、低速変形から高速すべり時の摩擦・水理特性を明らかにする。地質調査、掘削、摩擦・透水実験で得られた成果を他の研究計画と融合させ、低速変形から高速すべりまでの地震現象に関する統一的な理解に役立てることが最終目標である。

図1. スロー地震の地質学的描像と摩擦・水理特性の解明に向けたアプローチ。

研究内容

本研究では、(A)スロー地震域地質調査・掘削、(B)摩擦・透水実験を基軸とし、これらを互いに密に連携させながら、研究を推進する。

  • (A) スロー地震域地質調査・掘削
    沈み込み帯浅部と深部スロー地震発生域深度でそれぞれ形成された四万十付加体と三波川・長崎変成岩を対象に地質調査と試料分析を行う。また、ニュージーランドヒクランギ沖で実施予定のスロー地震発生域掘削に乗船参加し、浅部スロー地震をもたらす低速変形の地質学的実態を検討する。これらの研究により、スロー地震を引き起こす物質、低速変形の特徴、変形メカニズムを明らかにする。
  • (B) 摩擦・透水実験
    (A)で採取された地質試料及び模擬試料を用いて摩擦・透水実験を行い、間隙水圧や温度を変化させた際の摩擦特性の違いや低速変形から高速すべりへ至る際の摩擦・水理特性を検討する。これらの研究により、スロー地震から巨大地震発生へ至る際の摩擦・流体挙動を解明する。実験後回収された試料と(A)で採取された天然の試料の比較・検討を行い、低速変形から高速すべりを支配する要因と素過程を明らかにする。
  • (C) 他の研究計画との融合
    A01、A02,、B01班による地震・測地観測、地球物理学的構造調査から得られるスロー地震像と本研究による地質学的調査・観察から得られるスロー地震像を共有し、互いにフィードバックさせながらスロー地震発生像の理解を深める。
    掘削や摩擦・透水実験で得られた物性・力学データをC01モデル班に提供し、低速変形から高速すべりまでを網羅したモデル構築に資する。また、C02物理班へ素過程を含めた地質情報、摩擦・水理データを提供し、時空ダイナミクスの現象論確立、物理的実体に基づいた数理モデルの構築に資する。

メンバー

研究代表者
  • 氏家 恒太郎筑波大学 生命環境系
研究分担者
  • 片山 郁夫広島大学 大学院理学研究科
  • 森 康北九州市立自然史・歴史博物館 自然史課
  • ウォリス サイモン名古屋大学 環境科学研究科
  • 橋本 善孝高知大学 教育研究部 自然科学系 理学部門
  • 谷川 亘海洋研究開発機構 高知コア研究所
  • 堤 昭人京都大学 大学院理学研究科
連携研究者
  • 廣瀬 丈洋海洋研究開発機構 高知コア研究所
  • 金川 久一千葉大学 大学院理学研究科
  • 山田 泰広海洋研究開発機構 海洋掘削科学研究開発センター
  • 最首 花恵産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター
  • 濱田 洋平海洋研究開発機構 高知コア研究所
  • 山口 飛鳥東京大学 大気海洋研究所大気海洋研究所
  • 大坪 誠産業技術総合研究所 地質調査総合センター
  • 西山 直毅筑波大学 生命環境系
  • 太田 和晃京都大学 防災研究所

研究サブテーマ

分担者課題
  • 氏家恒太郎 「浅部地質学的検討(仮)」
  • 橋本善孝 「浅部地質学的検討(仮)」
  • ウォリス サイモン 「深部地質学的検討(仮)」
  • 森康・氏家恒太郎 「深部スロー地震発生域への流体移動とシリカ輸送」
  • 片山郁夫・岡崎啓史 「深部実験的検討」
  • 堤昭人 「スロー地震発生域浅部物質の中-高速摩擦特性」
  • 谷川亘 「水理特性検討(仮)」