下の図では、1−4の粒子間で、上と同様なスイッチングが生じており、最終的に離れていた1と4の粒子が接し、反対に2と3の粒子は離れ離れになってしまった。その間、短冊状の4の粒子は連続的に右回転していく。最終的に右に〜20度も回転した。これらの回転は定量的に評価され、試料中で、粒界に働くせん断応力と結晶学的な面に平行な粒界(短冊状粒子の側面を作る2つの平行な粒界)が他の粒界と比べて3倍程度すべりやすい、ということまで明らかにすることができた。
ここで我々は図に乗った。どんな鉱物でも、粒子の形を観れば、「結晶学的な面に平行な粒界」か否かは分かる。そして、それが発達するときは、変形と共にCPOが形成され、地震波速度異方性が生まれる。逆に、発達しなければ、最終的に地震波速度異方性は生まれない。。。下にあるよう、人様(多くは、三朝の山崎・芳野さん:この場で感謝)のさまざまなマントル鉱物の微細構造の像をまとめ、それと全マントル地震波速度異方性の深度マップを対比させ、「合う」とまで言い切った。言い換えれば、「全マントルは拡散クリープで変形している」。予想に反して、レビューワーから、少し表現を和らげたら?と提案されるにとどまり、無事、JGR誌に2編のつづき論文として公にすることができた。レビューワーか誰かが、「(宮崎論文で提案した)地球内部拡散クリープ説がさらに確かなものに。」と帯をふってハイライト論文と認定する尾鰭までついた。たった修士2年間の仕事ですが。。。自分が学生だったときを考えると、アリエナイ。しかし、そんな感慨もJGRからの請求書を見て、一瞬でふっとんだ。そこには、ページ超過料50万円とあった。
右はPanning and Romanowicz [2006]で示された全マントル地震波速度異方性の深度プロファイル。左は、各マントル深度域でのマントル鉱物(組み合わせ)の微細構造。上からMiyazaki
et al. [2013], Nishihara et al.[ 2006], Yamazaki et al., [2005], Yamazaki
et al. [2009], Yoshino and Yamazaki [2007], Yoshino and Yamazaki [2007],
McCormack et al. [2011].