近年進展著しいベイズ統計学に合わせた実験方法を編み出す+採用するのもありではないか。変形実験中の温度制御が高精度であることを利用して、極めてゆっくりと温度上昇・下降させることで、温度変化中の応力‐歪速度データを1℃毎のものとみなし、計674点という膨大なメカニカルデータを得た。当然ながら極めて小さな歪からの歪速度決定となり、また、超長時間の実験となるので、その間の粒径変化より粒径の不確かさが大きくなる。それを補うのがベイズであり、次世代型の実験方法の提案でもあーるのだ!と論文でもカッコよく宣言したのだが、その真相は。。。温度連続変化実験法のアイデアが先で、膨大に得られてしまった+え、我々の情報処理能力ではもしかして使えないかもデータに手を焼いてしまっていたのである。観測データから最適な物理モデルを統計的に探索する研究で華々しい成果を挙げている長尾さんに相談した。質より量のデータとベイズの相性は良く、長尾研究グループの協力でもっともらしい成果をあげることができた。この場で感謝。この手法から新展開と言いたいところだが、次にいけてないのも事実。現時点では、一点のデータの正確性を求めることに軍配があがってしまっている。しかし、実験の制約次第では、その優位性が異なることはあるだろう。この研究が、新たな実験的研究を触発するのであればそれに勝る喜びはありません、なんてエラ・ソナこと言えるのかなこの研究は。
温度連続変化実験および応力・温度ステップ実験結果(色付き)とそれを最もよく説明するクリープパラメータを用いた再現データ(半透明色付き)(Nakakoji et al. 2018)。