脈動
海洋波浪は固体地球を常に揺すっており、表面波(Rayleigh波、Love波)を常に励起されている。この現象を脈動(microseisms)と呼ぶ。卓越周期は約15秒のprimary microseismsと約7秒のsecondary microseismsに分かれる。secondary microseismsの振幅の方が桁で大きい。海から遠くはなれた大陸の中央でも、脈動ははっきりと観測される。
特に台風が通過するときには波高が高くなるため顕著に観測される。下図にその一例として、2004年の台風18号通過時の例を示す。 おおよそ一日半分の南大東島でも記録である。台風の勢力が弱まり、観測点から遠ざかるにつれて、振幅が弱くなっている。また、卓越周期は勢力が弱まるに連れて短くなっている様子を見て取れる。この動画では、同時に地震波形を1万倍早送りにし音声に変換している。
時々、"ポニョ"という音が聞こえるが、これは遠くで起こった地震波である。このように地震観の信号を脈動は隠してしまう。脈動は地震観測をする上では、主要なノイズである。
動画:台風時の記録例(平成16年台風第18号 9/7-8)
図左:南大東島での台風時の上下動記録。縦軸が周期を表し、横軸が時刻を表している。図右:台風の進路を表す。濃い赤い線が、左図でプロットした期間に相当する。
謝辞:今回用いた地震波形記録は,防災科学技術研究所のF-net観測網のデータを利用させていただきました。またEarthscope で作成した動画を使用させていただきました。記して感謝します。