展示概要

 江戸時代末期の嘉永7年11月4日と5日(1854年12月23日と24日)、立て続けに大きな地震が日本列島を襲いました。安政東海・南海地震と呼ばれる地震で、その被害は関東から九州地方まで広範囲にわたるものでした。そして翌年の安政2年10月2日(1855年 11月11日)には安政江戸地震が起こり、江戸の町は大きな被害を受けました。これらの地震の様子は瓦版や木版本として出版され、流通し、現在にまで伝わっています。
 今回は、地震研究所図書室が所蔵する史料から、江戸時代の人々が経験した地震災害の模様を伝えるものを中心に展示します。

 東京大学地震研究所図書室では、地震、火山、津波など地震研究所に関連の深い災害をテーマとした古書類を数多く所蔵しています。図書室では、2013年3月に「東京大学地震研究所図書室特別資料データベース」を公開し、古書類をここに集めています。データベースでは資料検索のほか、一部の資料については画像も公開しています。



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安政東海・南海地震と安政江戸地震

 嘉永7年11月4日(1854年12月23日)と翌5日(同24日)に相次いで安政東海・南海地震が発生しました。被害は東海道~紀伊半島~四国の太平洋沿岸地域の広範囲に及んでおり、死者はおよそ4~5,000人であったとされています。この翌年の安政2年10月2日(1855年11月11日)には、江戸の町を安政江戸地震が襲います。地震による被害は江戸市中に集中し、地震直後に発生した火災は翌日の午前まで延焼し続けたため、7,000人以上の死者がでました。

瓦版(かわらばん)が伝えた地震

 江戸時代には、天変地異や大火などが起こると、ニュース速報のため、瓦版とよばれる情報紙が発行されました。通常一枚の紙に木版で摺られたもので、街頭で売り歩かれました。下の三枚「諸國大地震大津波 弐編」「諸国大地震」および「安政江戸地震」が瓦版の実例です。



『安政見聞誌』について

 瓦版以外にも地震の被害を伝える史料が残されています。『安政見聞誌』は、上・中・下の全三巻で構成されている木版本です。仮名垣魯文(かながきろぶん)の編著で、地震後の安政3年(1856年)4月に出版されましたが、無許可で出版されたために後に幕府によって発禁処分となりました。これには文章だけでなく29の挿絵が収録されており、地震被害や人々の行動について具体的な様子を知ることができます。

 

『安政見聞誌』についてもっと見る
(『安政見聞誌』が伝える安政江戸地震被害状況のページへ飛ぶ)

 

※このWebサイトは2014年の東京大学地震研究所一般公開で展示した“地震研究所図書室所蔵資料展示 史料から読み解く地震災害(地震研究所図書室・地震火山噴火予知研究推進センター)”を基に作成しました。

資料はすべて東京大学地震研究所所蔵

出版物等に画像の掲載を希望される場合は当研究所への申請手続きが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

 

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