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Hiraga Lab, Division of Earth and Planetary Materials Science, Earthquake Research Institute,The University of Tokyo

東京大学 東大 toudai東京大学地震研究所

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1

研究内容RESEARCH

平賀研

雪の結晶形が、飽和水蒸気圧や温度など環境によって変化し、それを相図のように表現したのが、かくも有名な中谷ダイアグラムである。これを「雪は空からの手紙」というロマンチックなフレーズ一つに落とし込めるのは、はい、真似できません。 Miyazaki (2013 Nature)が示したのは、温度によってオリビン粒子形が変化し、それが結晶軸選択配向を決定することであった。雪のみならず単結晶の世界では、その形が様々な条件によって変化することが知られている。ならば多結晶体の世界でも?多結晶体の中で形が変化し、(Miyazakiを拡張すれば)結晶軸配向パターンもそれに応じて変化する?当然ながら、変形岩の粒子形および配向パターンは、変形の産物という常識があるので、我々の仮説はそれから大きく逸脱している。 多結晶体中の粒子形の多様性を示す実験結果は多くあるものの、「なぜ」に関しては、セラミックス・金属材料含めて全く手付かずである。理由は簡単。多結晶体中の粒子形を3Dで認識する困難性(どうしても2Dになってしまう)。まず、多結晶体中の粒子形の基本は、等方10数面体である。粒界3重点で120度をとる泡の形ともしばしば比較される。しかし、そのような基本形を実際の岩石に見ることはむしろ稀である。異方成長and/or界面エネルギーの異方性による(ある程度)結晶学的な面に司られた形が普通。しかし、それが平衡形あったとしても、全粒子がその形では3D空間を埋めることができない。平衡形は平均的な形としてでしか定義されない。ここに落とし穴があった。Miyazakiでノビノビオリビンと理解していた中には、実は、ノビノビ(鉛筆形に近いもの)のみならず、ドラヤキもあったかもしれなかった。これが図らずも、安藤による純粋変形実験から示された。純粋変形実験によって、異なる3つの歪方向から粒子形を観察できたことが味噌である。試料歪は一定、温度や焼き鈍し時間を変化させたところ、試料毎に異なる粒子形が観察されたのである(下図参照)。しかも、試料毎に結晶軸配向パターンが異なり、それがその平均的粒子形に対応していた。最終的に、ナヒョンの博士研究で粒成長、粒子形の変化、配向パターンの変化を生むことが示された(Kim et al. 2022 JGR)。オリビンファブリック転移の常識を根底から覆す。我々の主張を拡張すると、マントル中の粒成長、それに伴って変化する粒子形をマントル粘性率やマントル異方性に地球規模で「観る」ことになる。オリビン(形)は地底からの手紙、と(柄にもなく)ロマンチックな言葉の一つも吐きたくなる。中谷ダイアグラムの多結晶体(岩石)版を早急に作る必要がある。でも、地底=地獄?来たれ、(無謀なる)挑戦者よ。

純粋変形実験後のオリビン粒子形(グレー)と結晶軸選択配向パターン、そして平均粒子形(Kim et al. 2022 JRG を改変)。白の粒子はダイオプサイド。上から、等方、ドラヤキ、鉛筆(ノビノビ)形。真ん中列の結晶軸選択配向パターンは、上から、(ほぼ)ランダム、b軸一軸集中(AG-タイプと呼ばれる)、三軸それぞれ集中(A-タイプと呼ばれる)。

将来テーマ
コアから地殻まで、地質学、岩石学、鉱物学、鉱物岩石物理学、地球化学、地震学的なもの多々あるので、興味があれば是非聞いてください。


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