Kiyoshi Baba @ Earthquake Research Institute, The University of Tokyo

A simple method to evaluate the uncertainty of magnetotelluric forward modeling for practical three-dimensional conductivity structure models

Kiyoshi Baba
2023, Earth, Planets and Space
https://doi.org/10.1186/s40623-023-01832-5 【Open Access】Link to PDF

3次元電気伝導度構造モデルからMT応答関数を順計算する際の不確定性について、簡単かつ定量的に評価する方法を提案しました。従来、ごく簡単なモデルでしか順計算の不確定性が議論されたことはありませんでしたが、本研究で提案する手法は、どのように複雑な(現実的な)構造モデルであっても、いかなる周期帯、観測アレイ(陸上・海底を問わない)、どのような数値計算手法であっても適用可能です。実際の適用例からは、順計算の不確定性は、モデルや観測点、応答関数の周期や成分ごとに異なるとともに、典型的な観測の誤差に比べて無視できない大きさであることを示しました。構造モデルがどれだけ観測データ(MT応答関数)を良く説明するかを考える際には、順計算の不確定性も考慮することが重要であることを示しました。

Two independent signals detected by ocean bottom electromagnetometers during a non-eruptive volcanic event: Ogasawara Island arc volcano

Kiyoshi Baba, Noriko Tada, Hiroshi Ichihara, Yozo Hamano, Hiroko Sugioka, Takao Koyama, Akimichi Takagi, Minoru Takeo
2020, Earth, Planets and Space
https://doi.org/10.1186/s40623-020-01240-z 【Open Access】Link to PDF

2014年以来現在まで活発な噴火を続けている小笠原西之島周辺で行っている海底電磁気観測の最初の成果です。2016年11月は、噴火活動が休止していた時期でしたが、この間に顕著な地磁気と傾斜の異常を海底電位磁力計(Ocean Bottom Electromagnetometer; OBEM)で観測しました。OBEMは電磁場と傾斜の時間変化を観測できるので、火山活動に関連した磁化構造の変化と火山体の変形という2つの独立なシグナルを単一の装置で検出できます。海洋島火山の地下構造を電気伝導度構造としてイメージングするだけでなく、火山活動をモニタリングするという点でもOBEMが有用であることを示しました。

Preface to the Special Issue on "The 23rd Electromagnetic Induction Workshop, Chiang Mai, Thailand"

Kiyoshi Baba, Weerachai Siripunvaraporn, Ute Weckmann
2017, Surveys in Geophysics
https://doi.org/10.1007/s10712-017-9430-6

2016年8月にタイ・チェンマイで開催された、The 23rd EM Induction Workshopのレビュー論文特集号です。IAGA Div. VI Division CommitteeのPublication CoordinatorとしてGuest Editorを務めたので、Prefaceを執筆しました。通常論文の特集号は、Earth, Planets and Spaceより出版されています。

Electrical conductivity of old oceanic mantle in the nrthwestern Pacific I: 1-D profiles suggesting differences in thermal structure not predicatable from a plate cooling model

Kiyoshi Baba, Noriko Tada, Tetsuo Matsuno, Pengfei Liang, Ruibai Li, Luolei Zhang, Hisayoshi Shimizu, Natsue Abe, Naoto Hirano, Masahiro Ichiki, Hisashi Utada
2017, Earth, Planets and Space
https://doi.org/10.1186/s40623-017-0697-0 【Open Access】Link to PDF

北西太平洋の4つの海域で上部マントルの1次元電気伝導度構造を求めました。解析したデータは、「普通のマントル」、「スタグナントスラブ」、「プチスポット」計画で得られたものです。これらの海域はいずれも海洋底年代が1.3~1.5億年(恐竜が生きていた時代に生まれた)と古いのですが、リソスフェアに相当すると考えられる低電気伝導度層の厚さが海域間で有意に異なることが明らかになりました。この違いは、リソスフェアが単純に古くなるにつれて冷えて厚くなった考えるだけでは説明がつきません。対象海域はテクトニックな活動の痕跡はあまりなく、単純な冷却モデルに従うことが期待されていましたが、いざ調べてみると話はそう単純ではないようです。今後、更に様々な海域からデータを集め、一般性あるいは特殊性の法則を探っていく必要があります。

Marine magnetotellurics imaged no distinct plume beneath the Tristan da Cunha hotspot in the southern Atlantic Ocean

Kiyoshi Baba, Jin Chen, Malte Sommer, Hisashi Utada, Wolfram H. Geissler, Wilfried Jokat, Marion Jegen
2017, Tectonophysics
https://doi.org/10.1016/j.tecto.2016.09.033

ドイツと共同で実施したISOLDE計画の成果です。南大西洋の絶海の孤島トリスタン・ダ・クーニャは、マントル深部からの上昇流によって形成されたホットスポット火山と考えられています。調べてみると意外にもトリスタン・ダ・クーニャ島の下には上昇流を示唆するような顕著な電気伝導度異常は見られませんでした。今回の観測データでは検出できないほど上昇流の規模が小さいのか、それとも別の場所に上昇しているのかもしれません。ところでトリスタン・ダ・クーニャ島の南には断裂帯があって、その南北で海洋底年代が異なります。電気伝導度構造もこの断裂帯に沿って変わることがこの研究で明らかになったのですが、そのような特徴はアセノスフェアマントルの温度の違いを反映している可能性があります。
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