『安政見聞誌』が伝える安政江戸地震被害状況
『安政見聞誌』が伝える安政江戸地震被害状況(画像をクリックで拡大されます)
-
浅草寺
浅草寺境内では、観音堂の屋根が破損し、五重塔の九輪が曲がったものの、双方の建物は倒壊しなかった。しかし、雷門の雷神は倒れ落ち、境内の建物は多くが倒壊し、周辺の寺院群は倒壊・焼失した。
『安政見聞誌』中巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000231 -
本郷新町屋
本郷・湯島・神田の辺りは台地で水はけが良いため、味噌屋が地下に麹室を作っていることが多かった。本郷新町屋では、町屋などが9軒倒壊しており、そのうち三河屋彦兵衛などの住居が、その地下にあった麹室の中に崩れて落ち込んだ。ここには壊れた麹室を覗き込む人が描かれている。
『安政見聞誌』中巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000231 -
柳島町
柳島町では、町屋が軒並み大破・倒壊しており、また、通りの南側にある武家屋敷でも長屋などが大破・倒壊し、その後火災により焼失した。
『安政見聞誌』上巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000230 -
亀戸天神社
亀戸天神社(上図右側)では境内の建物は大破しており、その周辺の武家屋敷や町屋には倒壊が多かった。横十間川に架かる天神橋は無事なようであるが、絵図の右端から起こった火災によって門前町が焼失した。
『安政見聞誌』上巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000230 -
永代門前仲町
深川の被害は他の場所よりも激しく、武家屋敷や町屋は大破・倒壊し、直後の火災で焼失したりして、無事な家は一軒もなかった。永代寺の門前仲町では、町屋や土蔵が大破・倒壊しており、直後に起こった火災で壊滅的な被害を受けた。
『安政見聞誌』上巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000230 -
南伝馬三丁目
絵図の左下から右上へ東海道が通っており、堀川には京橋が架けられていた。十字路に面した商家は土蔵造であり、他所から火災に対して延焼しにくい構造であった。絵図からは、これらの商家が地震で破損したものの倒壊には至らなかった様子がわかる。しかし、直後に発生した火災によって、これらの商家を含む町内の町屋は焼失してしまった。
『安政見聞誌』上巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000230 -
四谷御門
江戸城の見付(枡形の城門がある番所)は36ヶ所あり、全ての見付で何らかの破損があった。四谷御門の渡櫓門では、屋根瓦と白壁が崩れ落ち、石垣は孕み出しているが、門そのものは崩壊していない様子がわかる。
『安政見聞誌』下巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000232 -
半蔵御門
半蔵御門では、門の屋根瓦や白壁が崩れ落ちただけでなく、門に連なっていた石垣が崩壊して内堀へなだれ落ちた。この絵図は、実際に見た人の話を聞いて描かれたものであるが、石垣の切石や松の崩れた様子が見てきたかのように描写されている。
『安政見聞誌』下巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000232 -
芝大神宮前
芝神明宮ともいわれる芝大神宮前の門前町では町屋や土蔵が大破・倒壊した。絵図には、倒壊した家の下敷きになった人がいないかどうか、棒を持って探している人が描かれている。また、絵図の右端に描かれている芝大神宮の境内では、破損した建物はあったが本殿は無事であり、幸いにもここで火災は発生しなかった。
『安政見聞誌』下巻より
東京大学地震研究所図書室特別資料データベースレコードID:L000232
資料はすべて東京大学地震研究所所蔵
※このWebサイトは2014年の東京大学地震研究所一般公開で展示した“地震研究所図書室所蔵資料展示 史料から読み解く地震災害(地震研究所図書室・地震火山噴火予知研究推進センター)”を基に作成しました。
出版物等に画像の掲載を希望される場合は当研究所への申請手続きが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
東京大学地震研究所図書室
113-0032 東京都文京区弥生1-1-1
Tel: 03-5841-5669
Fax: 03-5800-3859
Mail: sanko@eri.u-tokyo.ac.jp(@は半角)