最近の成果

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平成26年度の成果

これらの図は下記の報告書に掲載されているものです。


御嶽山の水蒸気爆発に先行して記録された地震と傾斜変動。 水蒸気爆発の発生11分前より火山性微動が観測された。その4分後には,山体膨張を示す火口方向上がりの傾斜変動が火口から南東約3kmの観測点で検知された。

長野県北部の地震。(左上)本震の地断層沿いに発生した余分布とSAR干渉画像解析による地殻変動。この断層面の浅部延長では,神城断層に対応する地表変動が見られる。浅い地震が発生していない領域の延長には地表地震断層が存在する。 深さ5km付近の青い楕円で示された領域では余震がほとんど発生していない。この領域は強震動を生成した領域に対応すると考えられる。SAR干渉画像では,縞の間隔が狭いとその領域地殻変動が大きいことを示している。(右下)長野県北部の地震発生後約1ヶ月間の余震分布。丸の大きさは地震の規模を,丸の色は地震の深さを表わしている。地表地震断層が見られた地域では,浅い地震が発生していない。

平城宮跡地に隣接する旧秋篠川の流路で11世紀末頃および14世紀中頃に発生した地震による可能性のある噴砂痕跡が発見された。これらの噴砂痕跡については,特定の歴史地震によるものとして限定される考古学的証拠は認められていない。

(左) GNSS(陸上)及びGPS-音響測距結合方式(海底)により観測された東北地方太平洋沖震後の地殻変動。赤と黒の矢印は,それぞれ,海底観測点(基準点)と国土理院の電子基準点における累積変位ベクトルを示す。赤線に沿う断面を対象に2次元シミュレーションを行った。(右上) 余効変動のシミュレーションのための2次元粘弾性構造モデル。上は,境界面の形状と粘性率に不均質を与えたモデル。下は,基本的に深さ方向にだけ粘性が変化する。白い線はプレート境界面。(右下)2つの粘弾性構造モデル対して2次元シミュレーョンで得られた余効変動。左は水平方向,右は上下方向の変位。観測データはGNSによる。右上図の赤線の領域の地殻変動を示す。

山陰地方の地震帯における波速度分布と応力状態との関係。稠密観測データを用いて推定れた地下4kmでの地震波(S波)の速度と小地震の震源における圧縮方向の分布。暖色系の色で示される低地震波速度の領域では,広域応力場と異なる圧縮方向を示す小地震が発生していて,局所的に応力場が回転していることが示唆される。赤色破線の矩形は地下深部の高電気伝導度域,実線は活断層,三角印は火山を示す。

地震発生前に非性滑りの発生により断層面で固着が弱まると,断層面での地震波反射率が上昇することが示された。(右下)現実の断層面状態と地震探査で使用される地震波の周波数を想定した数値シミュレーションで得られた断層面の固着の程度と地震波の反射係数の関係。地震発生前に50%程度の固着の低下が予測されるが,それに伴って反射率が38%増加する。ωは入力する地震波の周波数で,ω0は断層面の接触状態から理論的に計算される特性周波数。(左上)これを実際のプレート境界断層に適用すれば,地震探査を繰り返すことによって断層からの反射波を観測し,地震発生に先行する固着の変化を検知できる可能性がある。

マイクロラト(ミクロンスケールの結晶)のサイズ領域では,輝石・斜長石ともブルカノ式かサブプリニー式の噴火様式による違いは見られない。一方,ナノライト(サブミクロンスケールの結晶)の領域(概ね 2マイクロメートル以下)は,ブルカノ式の斜長石にはマイクロライトとの傾きの違いが顕著に認められる のに対し,サブプリニー式の斜長石には認められないという違いがある。火道浅部のマグマが受ける減圧過程の相違が表れ ていると考えられる。左図中,紫色の背景色は,マイクロラトの傾きと顕著な違いが認められるナノライトの領域を示す。

2014年8月3日,口永良部島新岳火で爆発的噴火が生した。新岳火口の北東約200mの傾斜計により噴火直前の変動が記録された。①噴火の約1時間半前から火口側の隆起が始まり,②約30分前から急加速した。2014年9月27日に御嶽山で発生した水蒸気爆発では,火口から南東約3kmの傾斜計で噴火直前の変動が記録された.①噴火の約7分前から火口側の隆起が始まり,②約4分前から急加速した。

(上左)房総半島沖ゆっくり滑りの発生履歴。(上右)房総半島におけるプレート沈み込みの模式図。長方形領域の地震を解析した。赤矢印は,下図で震央を投影した方向。(下)2007年8月,2011年3月,2011年11月,2014年1月のゆっくり滑り(SSE)期間に発生した群発的地震活動の時空間発展。青点は地震波形の相関を利用した解析により検出された地震,赤星は小繰り返し地震。横軸は時間経過、縦軸はE30°N-W30°Sの測線に投影した震央位置を表わす。赤線は累積滑り量の時間変化。2011年3月の図中の赤破線は地震の移動フロントのおおよその位置を表わす。

GNSSデータから系統的に推定された南海トラフ西部~琉球溝沿いで発生した短期的ゆっくり滑り。青の矩形領域及び矢印は,短期的ゆっくり滑りの断層モデルの位置と滑りの方向を表す。網掛けの領域はGNSSデータの解像度がないため,短期的ゆっくり滑りの検出を行わなかった領域。C1~C6は顕著な短期的ゆっくり滑りのクラスターの領域,黄色い領域は過去の大地震の震源域。

2011年霧島新燃岳噴火による火山灰の堆積が道路交通に及ぼす影響と道路清掃による道路交通の回復。(上)降灰量に対する通行規制の確率分布。(下)道路清掃による道路の清掃の時間,交通量,交通量の低下率を考慮して求めた最も効率的な火山灰除去順序。

実際に発生した2004年新潟県中越地震(中)及び同じ規模の地震が福島県東部で起きた場合(右)の関東平野におけるやや長周期地震動分布の数値シミュレーション。シミュレーションでは調査研究推進本部の取り組みで作られてきた,J-SHIS地下構造モデル(左)を用いた。コンターは周期6秒の速度応答値を示す。これは固有周期6秒の建物の最上階(速度)揺れの最大値を示している。

2012年7月24日に桜島南岳において発生した爆発によって放出された火山灰の影響で,GNSS衛星からの電波に遅延が生じた伝搬経路。赤の線が遅れを示す。火山灰が広がる領域で,多くの赤色の線が交差している。(上)平面図。(下)上図のA-Bに対応する東西断面図。

桜島大正噴火(1914年)に至る前駆現象の考察に基づく新たな避難訓練シナリオを作成し,机上防災訓練を行った。