継続的な海底地殻変動の観測により明らかとなったプレート境界の固着状況。(左図)アムールプレートに対する各観測点の年間移動量を、方向とともに赤矢印で示す。南海トラフより外側(南東側)では、これまで知られているプレート相対運動と同じであるが、内側(北西側)ではその約6割程度の移動が観測された。(右図)千島海溝根室沖に設置された観測点のオホーツクプレートに対する年間移動量を赤矢印で示す。海溝より内側(北西側)でプレート収束速度と同程度の年間約7 cmの移動が観測された。これらの結果は、いずれの領域でもプレート境界浅部ではプレートが固着しており、この固着域の周りではひずみが蓄積していることを示す(右下図参照)。
浅部スロー地震発生域やプレート境界位置などの最新の知見をもとに新たな断層モデルを構築し、1662年日向灘地震がM8級の巨大地震であった可能性を科学的に初めて示した。左図の①~③は本研究で構築した断層モデルで、従来の推定より浅部(断層③)でもすべりがあった可能性を示した。赤星は1923年以降のM7級プレート境界地震の震央、灰色領域は主なプレート境界地震の震源域、赤丸は浅部低周波微動の震央、紫破線はプレート境界位置の等深線をそれぞれ示す。右上図は津波浸水シミュレーションから断層モデルを評価した結果。①~③の3断層を用いて計算された津波高は、本研究で新たに津波堆積物が発見された地点(日南)の浸水を説明する。右下図は深さ方向の断面図で示す断層の位置とすべり量。太い灰色線はプレート境界、細い茶色線は海底地形を示す。本成果は地震調査研究推進本部が2022年3月に発表した「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動長期評価(第二版)」に反映されている (Ioki et al., 2022に加筆修正)。
本事業費を使用して得られた研究結果を論文等に発表する際には、以下を参考にして謝辞に記して下さい。
日本語:本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の支援を受けました.
English: This study was supported by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) of Japan, under its The Third Earthquake and Volcano Hazards Observation and Research Program (Earthquake and Volcano Hazard Reduction Research).