カテゴリー別アーカイブ: 部門・センターの研究活動

3.9.3 ポスト「京」重点課題③「地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築」

2020年から本格稼働が計画されているポスト「京」を有効に利用するため,ポスト「京」で重点的に取り組む社会的・科学的に重要課題が選定されている.その重要課題の一つが「地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築」である.地震研究所はこの重点課題の代表機関であり,海洋技術研究開発機構,神戸大学,九州大学,京都大学の分担機関や,10以上の協力機関とともに,このプロジェクトを推進する.課題は,理工学のシミュレーションを中心とするサブ課題Aと,地震・津波の災害に関わる社会科学のシミュレーションを中心とするサブ課題Bから構成される.また,アプリケーションの開発の他,システムの実用化を重視する点も特徴である.

一昨年度度から重点課題は本格研究活動に入った.サブ課題Aの理学のシミュレーションでは,地震発生・地殻変動と津波発生に対し,億から兆の自由度の解析モデルの数値解析を実行している.サブ課題Aの工学のシミュレーションでは,都市のより精緻な解析モデルを使う統合地震シミュレーションの研究開発を継続し,大阪近辺の高度な都市モデルが構築された.サブ課題Bではマルチエージェントシステムを使う,群集避難シミュレーションと交通障害・経済支障シミュレーションの研究開発が進められた.大規模化・高速化に成功し,10億単位のエージェントのシミュレーションが可能となっている.サブ課題Aとサブ課題Bで開発されたプログラム群を連成し,大阪近辺を対象に,地震の災害・被害・被害対応に対する理学・工学・社会科学のシミュレーションをシームレスで実行することを進めている.2019年3月に成果発表会を開催し,成果発信に努めている.

都市モデルの自動構築解析手法が,理化学研究所計算科学研究センターと共同で開発を続けている.国交省のi-construction計画とも連動し,解析手法の高度化とともに,実務利用を見据えた研究プロジェクトの企画・参画も進めている.

3.9.2 巨大地震関連現象の解明に資するデータ同化およびデータ駆動型モデリングの研究開発

(1) 革新的データ同化の創出を目指して

科学研究を進める上において,物理・化学法則等に基づく数値モデルと,観測・実験に基づくデータの比較が重要であることは論を待たない.しかしながら,近年の巨大スパコンの登場や大規模地球観測網・実験設備等の整備に伴い,大規模数値モデルと大容量観測データを突き合わせることすら容易ではなくなってきた.数値モデルと観測データをベイズ統計学の枠組みで統融合するための計算技術であるデータ同化は,時々刻々と入力する観測データに基づいて各時刻における状態の逐次推定を行う「逐次データ同化」と,予め決められた時間窓において観測データと最も整合する状態を探索する「非逐次データ同化」とに大別される.逐次データ同化で行う状態推定においては,アンサンブルカルマンフィルタや粒子フィルタに代表される逐次ベイズフィルタが用いられるが,素朴な実装をしてしまうと,世界最大のスパコンを以てしても計算機資源が全く不足するという事態が簡単に起こる.大規模数値モデルへデータ同化を実装する際には,4次元変分法を始めとする非逐次データ同化を用いるのが常套であり,例えば気象予報は主に4次元変分法に基づいて行われている.実装の手間は逐次ベイズフィルタよりも大きくなるが,必要な計算コストは格段に小さくて済む.

従来の4次元変分法は,事後分布の局所最大を与える状態を推定するのみであり,その不確実性を推定することが原理的に不可能であるという大きな欠点があった.例えば,台風の進路予測においては,中心位置の不確実性を「予報円」によって表現するが,これは従来の4次元変分法は算出することができず,アンサンブル計算によって求められている.すなわち,現在の天気予報では,非逐次/逐次データ同化を恣意的に組み合わせて実施されているのが実情である.我々は,2nd-order adjoint法を採り入れることにより,不確実性評価が可能な4次元変分法を開発することにより,これを解決した(Ito et al., 2017).このようにして得られた不確実性は,観測デザイン最適化のためのフィードバックともなる極めて重要な情報である.

それでもなお,現行の4次元変分法には,初期解に強く依存した局所最適解しか得られないという問題がまだ残されており,固体地球科学の実問題に適用するためには,これを乗り越えるようなアルゴリズム開発が求められる.本年度は,レプリカ交換モンテカルロ法を実装することにより,「革新的4次元変分法」とも言うべき,初期解に依存しない大域的最適解を求めることが可能な4次元変分法のアルゴリズム開発に着手した(後述(2)を参照).さらに,固体地球科学分野で得られる非時系列データへ適用可能なデータ同化法開発にも取り組んだ(後述(3)を参照).元来,データ同化は,時系列データへの適用が前提であったが,この手法が確立することで,より広いクラスのデータへの適用が期待され,データ同化がより効率的な情報抽出を実現する方法論へと昇華する.

(2) 4次元変分法による大規模データ同化に基づく予測不確実性評価法の開発

本センターは,科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業CRESTの研究領域「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」において,平成29年度に採択された研究課題「ベイズ推論とスパースモデリングによる計測と情報の融合」に参画し,本学大学院新領域創成科学研究科との協働により,ベイズ推論に基づいて実験計測効率を最大限に高める「ベイズ計測」を実現するための情報数理基盤の開発研究を実施している.非逐次型データ同化法である4次元変分法は,フォワード計算を実施するための数値モデルから「アジョイントモデル」と呼ばれる方程式系を構成する必要があるため,アンサンブルカルマンフィルタや粒子フィルタのような逐次ベイズフィルタを用いたデータ同化手法と比較して,実装は容易ではない.しかしながら,実装さえしてしまえば,必要なメモリ容量と計算時間を数値モデルと同等に抑えることができるため,連続体計算のような自由度の大きい数値モデルを用いるデータ同化を実施する際には,極めて有効である.従来の4次元変分法に基づくデータ同化では,勾配法による最適化を行うため,逐次型データ同化法では自然に得ることができる推定値の不確実性を評価することが不可能であった.これまでに本センターでは,その4次元変分法の弱点を解決する新アルゴリズムを開発し,大自由度系の数値モデルに対する推定値の不確実性の高速かつ高精度な評価を可能にした.さらに,得られた不確実性が系の将来状態へ与える影響を高効率に予測する方法論を構築した.この手法群は,任意の自励系のシミュレーションモデルへの適用が可能であり,浅水方程式などの津波モデルや,断層運動を取り扱う弾性体モデルなど,固体地球科学で用いられる様々な大規模シミュレーションモデルへ応用することにより,得られた不確実性が未来の状態の予測へどの程度影響するかといった客観的評価を与えると同時に,予測の高精度化や観測デザインの最適化への還元が期待できる.本年度は,本手法群をさらに高度化させるため,レプリカ交換モンテカルロ法と4次元変分法を組み合わせる,Metropolis-adjusted Langevin algorithm (MALA)の実装に着手した.MALAは,4次元変分法で用いられる勾配法における状態更新の際に確率的な揺らぎを導入することで,より高速かつ大域的な最適推定値の探索を可能にする手法である.一般に4次元変分法で探索する評価関数は多峰性をもち,通常の4次元変分法の枠組みでは局所解に留まる可能性が非常に高いが,確率的要素を組み込んだMALAにより,評価関数の峰を超えて,大域的な最適推定値を探索することができる.MALAの試行として,岩石組織の成長プロセスを表現する多相フェーズフィールドモデル(PFM)に対して,観測量が不十分で評価関数が大量の局所解をもつ問題に適用した.その結果,MALAは初期解に依存しない大域的推定値を得ることを確認した.今後は,本手法を地震波動モデルに適用することを予定しているが,実際の観測量は地上観測点での波動場のみであるので,この限られた観測量から地下構造や震源位置などを推定する場合,評価関数が複雑な多峰性を持つことが予想される.既存の4次元変分法では,そのような場合には極めて良い初期モデルを与える必要があったが,MALAはある程度ラフな初期モデルから出発しても,地下構造や震源位置などについての安定した推定が可能になると考えられる.さらに,Ito et al. (2017) の不確実性推定法を適用することにより,波動場の不確実性を高速評価が可能になり,観測点の最適配置に向けたフィードバックや推定の高度化などへの応用が期待される.

(3) 非時系列データへのデータ同化の応用

通常のデータ同化は,観測データが時系列であることを前提とする.そのため,非時系列データは,本来はデータ同化の適用範囲外である.しかしながら,岩石組織や地層など,時間発展の情報を持たない非時系列データが固体地球科学分野では多く存在する.このような非時系列データから,系の時間発展に関わる情報を抽出する方法論を構築することは,固体地球科学分野にとって重要な問題であるだけでなく,データ同化をより広い分野と広いクラスの問題へ適用可能な手法へと拡張するという数理科学的な意味においても,挑戦的な課題である.今年度,本センターでは,岩石組織データおよび金属組織写真データから系の時間発展を抽出する問題を課題とし,それを実現する新規データ同化アルゴリズムの開発に取り組んだ.

岩石組織は,過去の圧力・温度履歴を反映した自然の記録媒体と見なすことができる.しかしながら,その写真データからは岩石中の空間的な化学組織がわかるのみであり,既存のデータ同化の枠組みに必要な時系列情報にはなっていない.本センターでは,この非時系列データから,岩石が成長過程で受けた圧力・温度履歴を推定する新規データ同化アルゴリズムを開発した.具体的には,岩石組織データをガウス過程回帰で補間することで空間連続的なデータへと変換し,岩石の平均粒径が従う時間発展方程式と粒子フィルタを組み合わせることにより,圧力・温度履歴を推定する.擬似データを用いた数値実験により本手法を検証したところ,圧力・温度履歴を正しく再現できるのみならず,その不確実性も評価できることを確認した(Kuwatani et al., 2018).今後は,本手法をPFMへ実装し,空間的な圧力・温度履歴推定など,より詳細な情報抽出のための方法論へと高度化させる.

また本センターは,内閣府・JSTによる戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的構造材料」に参画し,特にデータ同化を軸として,複雑かつ限られた材料データから最大限の情報を抽出し,高効率な材料開発を実現するための数理基盤技術の開発研究を実施している.

岩石および金属物質の内部に普遍的に存在する結晶方位の食い違いに起因する特徴的な空間構造(粒構造)は,その物質のマクロな物性に直結するため,数値シミュレーションによって外部からは観測できない粒構造の予測およびその不確実性を評価することは,物性評価およびその時間発展の予測のために極めて重要である.粒構造の時間発展は前節で挙げたPFMで記述されるが,PFMは実験で直接観測不可能な現象論的パラメータを多く含む大自由度モデルであるため,既存の統計学的手法を用いて限られた観測データからシミュレーションに必要なパラメータや場の初期状態を推定・評価することは困難であった.さらに,通常得られる計測データは時間発展の途中の粒構造の静止画像であり,必ずしもPFMの時間発展に寄与するパラメータの情報を含む時系列データが得られるとは限らないため,パラメータ・初期状態推定を効率的に行なうための計測データの設計が必要不可欠となる.鋼の粒構造の写真データをテストデータとして,本研究ではPFMと大自由度モデルデータ同化を用いて粒構造写真データからパラメータや場の初期状態を効率的に推定する方法論を提案した.具体的には,温度履歴の異なる複数の粒構造静止画像データから粒構造の時間発展の特徴を表現する統計量の時系列データを構築し,PFMから計算される理論値と比較することでパラメータの事後分布の評価を行なう.さらにその事後分布を経験ベイズ法に基づいて評価することで,与えられた粒構造の候補からデータを最も再現する最適な初期粒構造の選択を可能にした.この手法により,自由度の大きいPFMを用いた場合でも,現実的な計算機資源・実行時間内でパラメータ推定および不確実性評価や初期粒構造推定,ひいては粒構造の成長予測の効率的な評価が可能になった.

3.9.1 計算地震工学分野での大規模数値解析手法の開発に関する研究

断層-構造系システムとは,対象とする断層と構造物から成る地殻と構造物のモデルである.断層から生成される強震動と,その強震動に対する構造物の地震応答を計算するために使われる.開発されてきた独自のマルチスケール解析手法を改良し,大規模化・高速化を実現し,断層-構造系システムの解析を行っている.なお,大規模化・高速化の結果,従来の手法を凌駕する時間・空間分解能で,断層から伝播する地震動に対する構造物の地震応答を計算することに成功した.

断層-構造系システムの根幹である地震波動の計算では,地盤・地殻構造の幾何形状を詳細にモデル化することが重要であり,このためには有限要素法を用いる必要がある.しかし,有限要素法は差分法に比べ,計算コストが膨大となる.数理的な観点から分析し,計算コストを低減させる効率的なアルゴリズムを考案し,マルチスケール解析手法の計算コードに実装した.実装に際して並列化性能を上げることにも成功した.断層-構造系システムの大規模数値解析手法の開発では,このように基礎的な数理研究と計算科学研究にも重点が置かれている.

首都直下地震を対象として,山手線内の30万を超える構造物の地震動応答解析を行えるだけの解析技術が整いつつある.10Hzまでの精度保証可能な1000億自由度級の有限要素法モデルを用いて,断層から地表までの地震動解析,地表近傍の堆積層による地盤震動解析を行う.これらの解析技術は上記の基礎的な数理研究と計算科学研究に立脚する成果であり,ハイパフォーマンスコンピューティング分野における世界的な賞のひとつであるゴードンベル賞の最終選考論文5編に2014年2015年の2年連続で選ばれた.また,ポスト「京」重点課題アプリケーションのひとつとして選定され,ポスト「京」計算機上へ向けたチューニングが実施されている.

断層-構造系システムの具体的な対象として,大規模地下トンネルや原子力発電所といった実際の大規模構造物も挙げられる.実構造物に忠実な大自由度の解析モデルを構築し,改良されたマルチスケール解析手法を適用し,地震応答を計算している.構造物の特性を理解するためには,民間企業等の協力が必須であり,共同研究を介することで実構造物のより現実的な地震応答解析手法の構築をすすめている.地殻構造の幾何形状が地殻変動の弾性・粘弾性挙動に大きな影響を及ぼすことが指摘されていることから,構築中の技術のこれらの解析への展開も進められている.2016年には,日本列島全てを含む広領域において高詳細な地殻モデルから構築した100億自由度以上の有限要素モデルを用いた弾性・粘弾性地殻変動解析等が行われた.また,2兆自由度を超える有限要素モデル構築技術及びこれを用いた地殻変動解析技術を開発し,プレート境界の応力分布推定のための超高分解能有限要素解析が可能であることを示した.これらの成果は,ハイパフォーマンスコンピューティング分野における世界的な国際会議のひとつであるSCにおいて受賞するなど計算科学の分野においても高い評価を受けている.また,2017年には上述の山手線内の1000億自由度級の有限要素法モデルを用いた解析と人工知能を組み合わせた地震の揺れの推定高度化に関するする成果がSCにおいて受賞するなど,新たな研究の展開が進むと同時にその内容も高い評価を受けている.さらに,2018年には人工知能により高性能計算を高速化するというあらたな「人工知能と高性能計算の融合の在り方」を試みた超並列ソルバーを開発し,2018年時点で世界最速のスーパーコンピュータである米国Summitにおいて従来を凌駕する高性能を達成し,上述のゴードンベル賞の最終選考論文に三度選ばれるなど,新しい分野を開拓するとともに,継続的に高い国際的評価を受けている.

3.9 巨大地震津波災害予測研究センター

教授 堀宗朗 (センター長),古村孝志(兼務),佐藤慎司(工学系研究科,兼務)
准教授 市村強,ラリス・ウィジャラットネ,長尾大道
助教 藤田航平,伊藤伸一
特任研究員 秋葉博,高谷周平,飯山かほり,長谷川慶,中釜裕太,大塚悠一
学術支援専門職員 阿部宏
外来研究員 桑谷立,澤田昌孝,椎名祐太,高橋勇人,羽場一基,三橋祐太,森川耕輔,山本実,吉田健太,小山宏史
大学院生 Petprakob Wasuwat (D3),Quaranta Lionel (D1),山口拓真(D1),石川大智(M2),Gill Amit(D1),Singhal Nishant(M2),猪苗代大路(M2),山川一平(M2),羽場智哉(M2),Wang Pengxiang (M2),Dharmasiri Migel Arachchillage Kasun (M2),日下部亮太(M1),村上和也(M1),小田倉雅人(M1)
学部学生 石黒純,櫻井航,村上颯太
インターンシップ研修生 Mirzajani Nanehkaran Mohsen
特別研究学生(協定校) KAO Kuork Chheng Patrice

巨大地震津波災害予測研究センターは,東日本大震災を契機として2012年4月に設立された研究センターである.巨大地震・津波と災害の予測に関する新しい計算科学の研究領域を開拓することを目的としている.新しい計算科学の研究領域は,解析手法の開発・利用による情報生成と各種解析結果の情報統合という分野である.情報統合は観測・実験等の融合強化も含む.また大規模数値計算を基盤とした理工学連携を進めることで,巨大地震・津波と災害の予測研究分野での新しい人材育成に貢献することも本センターは目指している.

巨大地震津波災害予測研究センターのミッションは,大規模数値計算を使った巨大地震・津波と災害の予測研究である.このために,情報生成と情報統合の2つの分野を設け,理工学連携強化とシミュレーション研究統合を進めている.センターのスコープは,地震・津波・災害という対象に限定されるものではなく,新しい計算科学という手法も含んでいる.観測.実験の融合のための計算科学手法の研究開発や,火山噴火に関わる大規模数値計算の研究開発も進められている..

3.8.3 国際活動

Muographers 2018

 2018年11月28日-12月01日の日程で,イタリア文化会館共催,駐日イタリア大使館,駐日ハンガリー大使館後援,駐日欧州連合代表部,その他国内外機関協力により,Muographers 2018を主催した.会議は総会並びに複数のワークショップから構成され,6か国16機関から120名近くの参加があった.

NEWCUT ラボ

 2019年11月29日,東京大学,ハンガリー科学アカデミー・ウィグナー物理学研究センター,電力中央研究所,日本電気株式会社は,ミュオグラフィの高度化を目的とした国際共用ラボ「NEWCUT」を設置した.2019年11月29日の開設式典では各々の機関の代表による事業説明があり,その後ノーベルト・パラノビッチハンガリー大使によるテープカットにより,正式にラボが発足した.国内外のメディアで報道された.

Horizon 2020

 欧州科学技術基本計画Horizon2020において国際スタッフ交流事業(RISE)(総予算1億7500万ユーロ81事業)が採択され,ミュオグラフィ分野の日欧ネットワーキングにおいて東京大学は重要な一翼を担う.これを受けて,2018年11月28日に駐日欧州連合代表部で,第一回のワークショップをミュオグラファーズ2018の一部として主催し,「卓越した科学,産業界におけるリーダーシップ,社会的課題への取組」の観点において議論を行い,より規模の大きなInnovative Training Networks(ITN)への発展を目指した.プロジェクトは2019年1月より始動する.

国際特許 共同出願

 2018年11月28日,東京大学,ハンガリー科学アカデミー・ウィグナー物理学研究センター,電力中央研究所,日本電気株式会社は,「地中状態観測装置」の名称にて,ミュオグラフィを用いた地下構造イメージングに関する特許の共同出願を行った(特願2018-222565)

多摩美術大学美術館:宇宙に訊ねよ. ミュオグラフィが透視する科学と芸術の出会うミライ展

 多摩美術大学美術館主催,東京大学地震研究所共催,ハンガリー科学アカデミー・ウィグナー物理学研究センター,駐日ハンガリー大使館後援で,「ミュオグラフィ」をテーマにした展覧会が東京都多摩市多摩美術大学美術館で2018年5月19日 (土) ~6月17日(日)の日程で開かれた.ミュオグラフィ観測装置や各種成果,多摩美術大学にゆかりのある作家のミュオグラフィ造作とともに,ハンガリー大使館推薦のハンガリー人作家が,多摩美術大学のアーティストインレジデンス事業により多摩市に滞在し,土でミュオグラフィを表現するオープンスタジオを展開した.

3.8.2 ラジオグラフィー解析による研究

(a) ミュオグラフィ自動処理データ閲覧システム

 我が国は世界に先駆けて素粒子ミューオンによる火山透視(ミュオグラフィ)を成功させ,これまでにない解像度で火山浅部の内部構造を画像化した.例えば,浅間山では固結した溶岩の下にマグマ流路の上端部が可視化された.また,薩摩硫黄島ではマグマ柱上端部に発泡マグマが可視化された.これらはすべて静止画像であるが,2009年の浅間山噴火前後の火口底の一部に固結していた溶岩の一部が吹き飛んだ様子が透視画像の時系列変化として初めて可視化された.さらに,2013年には薩摩硫黄島においてマグマの上昇下降を示唆する透視映像が3日間の時間分解能で取得された.これらの成果は,ミュオグラフィが火山浅部の動的な構造を把握し,噴火様式の予測や,噴火推移予測に情報を提供できる可能性を示している.しかし,現状ではデータを即透視画像として提供する事が出来ていないため,火山学者が透視画像にアクセス出来る状況に無い.そのため,火山学者による透視画像の解釈がいっこうに進まず,火山活動とミュオグラフィ透視画像の関連について系統的に評価するまでに至っていない.この問題を解決するため、ミュオグラフィ自動処理データ閲覧システムを開発した.これはミュオグラフィ観測のデータ処理の自動化を行うことで,火山体浅部の構造を把握し,噴火様式や噴火推移の予測に必要な情報を提供することを目指すものである.これにより,噴火現象を含む火山活動の推移に伴う火口近傍の変化をリアルタイムで検出し,噴火予測や防災対応に貢献することができる.
 2017年度までに第2世代のシステム(841画素)に対応したリアルタイム透視画像表示システムがウェブサイトに実装され,リアルタイムに最新情報に更新される画像を閲覧できる環境が実現された.2018年度は第3世代のシステム(24639画素)に対応したシステムへとアップグレード行い,登録ユーザーへと公開した(図3.8.4).第2世代システム用に開発した,インタラクティブ解析ツールでは,(i) 期間を指定したミューオン飛跡数分布の生成,及び(ii) 角度領域を指定したミューオン飛跡数の時系列変化が表示可能であった。これらは,画素数が圧倒的に増えた第3世代システムでも,第2世代システムと同様の手順で同様の結果が得られる.

(b) 全方位ミュオグラフィによる火山観測研究

 火山体の内部構造は,火山噴火のダイナミクスを反映すると共に,火山活動の推移や歴史を記録している.噴火現象を理解する上で重要な情報の一つは,マグマを地表に供給するシステムである火道の形状,特に浅部の形状である.例えば噴火様式を決定する最重要なパラメータのひとつである噴出率は浅部火道形状に支配されている可能性が指摘されている(Costa et al., J. Volcanol. Geotherm. Res., 2007) .爆発的噴火の時に噴煙が噴煙柱として上空にあがるか,火砕流として地表面を流れ下るかは,浅部の火口・火道形状に依存するという最新報告もある (Koyaguchi et al., J. Geophys. Res. : Solid Earth, 123, 2018, page7461–7482 & 7483–7508).地震波などを用いたこれまでの観測方法では浅部における火山体の詳細な内部構造を知ることは難しい.
 これを可能にするのがミュオグラフィである.ただし,これまで行われてきた1方向からの観測による投影画像では,ミューオンの経路に沿った山体の積分密度しか得られず,2~3方向からのステレオ観測では火道を三次元的に解像できる空間分解能に達することができない.
 一方で近年,ミューオン観測装置の大量生産体制が進み,観測方位をこれまでと比べて10倍以上に増やす目処が付いた.人体におけるX線CT撮像のように火山山体をぐるりと囲むようにミューオン観測器を設置し,高解像度での3次元密度イメージングを可能にする「全方位ミュオグラフィ」観測の準備が進みつつある.
 全方位ミュオグラフィというこれまで実施されなかった観測手法について,世界に先駆けて実現可能性の検討が行われた(Nagahara and Miyamoto, 2018).静岡県伊東市に位置する大室山スコリア丘に対してfiltered back projection法をベースにしたシミュレーション結果の例を図 3.8.5に示す.この研究によって次のことが判明した:
 1)三次元密度画像の再構成誤差は,観測方位が増えるほど小さくなるが,各投影観測における空間分解能より多くなるように設置しても改善は見られない.
 2)各観測方向におけるミューオン統計誤差が再構成画像に与える影響は,すべての観測装置でカウントされた総ミューオン数のみに依存する.
 大室山が実現可能性シミュレーションの評価対象として選ばれた理由は,最初の実証観測を行うにあたって理想的な条件が揃っているからである.大室山は外見上は、ほぼ軸対称な形状をしている.しかしながらこれまでの地質学・地形学的な研究調査から形成された噴火過程から,山体の内部構造に関わる以下のことが推測されている:a)噴火が進行して大型の山体と火口が成長した後,荷重と熱によって山体内の一部が溶結し,周囲より密度の高い層を形成した.b)噴火の末期に火口内に溶岩湖が形成され,その溶岩が火口底を突き抜け山体内部を通って西側の山麓に流れ出た.c)噴火の最終段階に至って主火口が閉塞した際に,ガスが逃げ場を求めて爆発したと見られる小火口が南側中腹に存在する.すなわち密度構造に異方性があり,かつ10メートルオーダーの空間スケールで溶岩・スコリア堆積部で0.5~1.0g/cm3程度の密度コントラストが期待される.これをイメージングすることができれば,本研究の目指す火道形状・密度構造の詳細な3次元イメージングが,一般的な活火山においても可能であることを実証することにつながる.大室山には,ミューオン観測器を設置する場所へのアクセスが容易であること,地形の観点からどの方向から大室山を見ても他の山などが影にならないこと,及び山体がそれほど大きくなく十分なミューオンシグナル量が見込めること,などのメリットもある.以上の計画・シミュレーション結果に加え,小型装置による3方向からの試験観測の結果が2018年度火山学会秋季大会で発表された.今後2年間で60方向から大室山を観測する準備が現在進められている.

(c) 大気ニュートリノおよび太陽ニュートリノを用いた,地球深部の化学組成・密度構造推定

 低エネルギーのニュートリノは,断面積が極めて小さく,地球を容易に貫通するため,物質密度の測定には適さない.しかし,大気中で生成されたニュートリノの観測などにより,ニュートリノは質量を持ち,その結果,ニュートリノは伝播中に別のニュートリノに変化することが分かっている(ニュートリノ振動).なお,この現象はスーパーカミオカンデによって発見され,その功績によって本学宇宙線研究所の梶田教授が2015年にノーベル賞を受賞したことで,広く知られるようになった.
 ニュートリノが他の種類のニュートリノに変化する割合は,ニュートリノと他のニュートリノの質量の差,エネルギー,伝播距離,媒質中の電子数密度で決まる.したがって,電子ニュートリノが他のニュートリノに変化する割合を,エネルギー毎に測定すれば,地球内部の電子数密度分布を測定できる.ニュートリノ振動測定で得られた電子数密度と,地震波測定等で得られている物質密度とを組み合わせることにより,地球内部の平均的な化学組成を測定することが可能となる.この手法を,既知の地球の物質密度分布と組み合わせることで,原子番号(Z)と原子量(A)との比(A/Z比)をイメージングすることも可能である.

 ハイパーカミオカンデは,次世代のニュートリノ観測装置であり,スーパーカミオカンデの8倍もの巨大な有効体積と,高いエネルギー・角度分解能を備える.これを用いることで,地球液体核の化学組成に制限を与えられることが,これまでの研究から明らかとなっている.ハイパーカミオカンデは,2020年度より建設を開始することが既に決定されており,現在,様々な要素の詳細設計・研究開発が行われている.
 地震研究所では,ハイパーカミオカンデの主要構成要素である,光検出器の研究開発を,宇宙線研究所ほかと共同で行ってきた.今年度は特に,光電子増倍管の高感度化と雑音低減にとりくんだ.光検出器の高感度化及び雑音低減は,共に光検出器のガラス中に含まれる不純物の低減により達成される.ガラス中に含まれる鉄やチタンなどの不純物低減により,ガラスの透過率が向上し,感度の向上が見込まれている.また,光検出器の雑音の半分以上は,ガラス中の放射性不純物に起因することを解明した.加えて,ガラス中の放射性不純物の半分はガラス原料の硅砂に,残りはガラス溶融炉に用いられる煉瓦に由来していることが明らかとなった.この発見には地震研究所における精密化学分析が貢献した.2018年度の我々の研究から,ガラス原料・溶融炉の煉瓦の選別・高純度化によって,光検出器の高感度化と雑音低減が可能であることが明らかとなった.

 2019年度は,低雑音・高感度光検出器の試作,ハイパーカミオカンデの最終デザインを用いた,地球化学組成分布測定の感度見積もりを行う.

(d) 宇宙線を用いた大気のない天体のトモグラフィー

 地球大気中で生成されるミューオンのエネルギースペクトルと,大気のない天体表面で生成される宇宙線のエネルギースペクトルは大きく異なる.パイ中間子が崩壊してミューオンに変化する前に,物質内部の原子核と衝突することによって,また電離損失によって,エネルギーを失ってしまうため,大気のない天体表面では,エネルギーの低いミューオンしか生成されない.したがって,大気の存在しない天体表面のトモグラフィーには,ミューオンは適さない.
 しかし,その効果を逆手にとって,大気のない天体表面のトモグラフィーを行うことは可能である.一次宇宙線が天体表面で生成した荷電パイ中間子が物体中を移動する距離は,ミューオンと同じく,密度に依存する.パイ中間子は十分にエネルギーを失ったのち,ミュー粒子へ,そして最終的には電子陽電子へと崩壊する.ここで生成された電子陽電子の一部は,月面から上方へ向かうため,月面から上方に向かう電子を観測することで,天体浅部の密度プロファイルないし化学組成プロファイルを,2次元的に測定することが可能となる.

 今年度は月面の化学組成変化がどのようにスペクトルに影響するのかの見積もりを行った.特に,月表面の化学組成を変えると,上向き電子のエネルギースペクトルがどのように変化するかを調べた(図 3.8.6).計算の結果,月面から100km上空の月周回軌道から,月面の化学組成の違いを測定することが原理的に可能であることが分かった.本手法によって,レゴリスに隠された月の海のマッピングが可能となると期待しており,それによって月の火成活動の歴史を明らかにしたいと考えている.
 また,インド工科大学(IIT),インド物理学研究所(PRL)と共同で,インド宇宙研究機関(ISRO)に予算申請を行い,研究計画の一部が,Phase-1 R&Dとして承認された.今後も,インドの共同研究者と連携を取りつつ,本研究を推進していく.

3.8 高エネルギー素粒子地球物理学研究センター

教授 相原博昭(兼任), 大久保修平(センター長),田中宏幸
助教 宮本成悟,武多昭道
特任研究員 保科琴代,OLAH Laszlo,池田大輔
学術支援専門職員 市川雅一
外来研究員 上木賢太
大学院生 南 一輝(M2),長原翔伍(D2)

 本センターの設置目的は,宇宙線ミューオンやニュートリノ等の高エネルギー素粒子を用いて,これまでにない高い分解能(10-100m程度)で断層や火山などの固体地球内部を透視し,地震・火山現象の解明と防災・減災に貢献することである.そのためには素粒子透視技術(ラジオグラフィー)の一層の高度化が必要となる.とくに素粒子検出デバイス開発に対しては,小型・軽量・低消費電力という野外観測からの要求に応えつつ,一方で空間的にも時間的にも高い解像度を確保することが,世界の中でのリーディング・エッジを今後も確保することが欠かせない.また,一方でこれまでは火山に限定されてきた応用分野を,地震断層等にも広げていくことが望まれてきた.これらのことを念頭に,当センターで進めてきた研究活動を以下に述べる.

3.7 海半球観測研究センター

教授 歌田久司,川勝均,塩原肇(センター長)
准教授 清水久芳,竹内希
助教 一瀬建日,馬場聖至,竹尾明子(兼務)
日本学術振興会特別研究員 南拓人
日本学術振興会外国人特別研究員 Zorin Nikita
特任研究員 入谷良平,Rung-Arunwan Tawat
技術支援員 横山景一
外来研究員 多田訓子,原田雄司
大学院生 Li Ruibai(D3),Long Xin(D3),川野由貴(M2),丸山純平(M2),Kim Hyejeong(M2)

3.6 火山噴火予知研究センター

教授 森田裕一(兼), 武尾 実,上嶋 誠(兼)
准教授 市原美恵,前野 深,大湊隆雄(センター長)
助教 青木陽介(兼),金子隆之,小山崇夫,及川 純
客員教員 相澤広記,青山 裕,宮縁育夫
特任研究員 グレッセ マルソー
外来研究員 長岡 優,野口里奈,嶋野岳人,鈴木由希,常松佳恵,吉本充宏
大学院生 蘭幸太郎(D3),池永有弥(M2), 甲斐 健(M2), 菅野 洋(D3),大橋正俊(D2),山河和也(D1),Yuki Natsume(D1)

 

 火山センターでは,火山やその深部で進行する現象の素過程や基本原理を解き明かし,火山噴火予知の基礎を築くことを目指し,火山や噴火に関連した諸現象の研究を行っている.その基本的な研究方針は,2009年サイエンスプランで掲げられた「火山活動の統合的解明と噴火予測」と2013年11月に出された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究の推進について(建議)」に基づいている.本センターでは 2004年度に作成した「火山観測の将来構想」に基づき観測体制の整備を実施しそれによる観測研究を続けた.すなわち, a)観測網を強化し研究成果を上げるべき火山として,浅間山,伊豆大島, b)研究成果が短期的には大きく望めないが,将来のために観測を継続・改良すべき火山として,三宅島,富士山,霧島山. c)他機関が既に観測網を整備している等の理由で基本的には撤退する火山として草津白根火山を挙げ,この方針について全国の火山噴火予知研究コミュニティーで了解を得て,順次整備を進めてきた.2010年度以降は,観測所等の施設は観測開発基盤センターに移管されたが,同センターの火山担当教員との協力・共同の元に研究方針に沿った整備を進めている.

 火山センターが観測研究の対象とする火山の近年の活動を以下にまとめる.浅間山では2004年の活発な活動以降に大きな活動は無く,2008年,2009年,2015年に弱い噴火が発生したのみである.伊豆大島は顕著な活動は無いものの,マグマ蓄積を示す基線長の伸びは継続している.富士山では目立った活動は無い.霧島連山・新燃岳では2011年1月26日に約300年ぶりの本格的な準プリニー式噴火が発生し,それ以降は活動度の高い状態が継続している.2017年10月に新燃岳が再噴火し,2018年3月に溶岩が山頂火口から北西に流れ下った.爆発的な噴火活動は2018年6月まで続いた.硫黄山では,2018年4月に小規模な水蒸気噴火が発生した.口永良部島では2015年5月に全島避難となる噴火が発生したが,2017年,2018年にも爆発的噴火が散発的に発生している.草津本白根山では2018年1月に小規模な水蒸気噴火が発生した.伊豆・小笠原諸島の西之島で2013年11月から始まった噴火は,周辺の浅海を溶岩で埋め立て新しい火山島を作り出し,約2年の活動を経て一旦終息したが,2017年4月と2018年8月に再度活発化し溶岩流出により西方と南方への拡大が進んだ.

 この間の火山噴火予知研究センターの主な成果をここに簡潔に纏める.広域の地殻構造解析と火山周辺の地震活動・地殻変動解析から,浅間山と伊豆大島において,上部地殻から火口に至るマグマ供給系の概要を明らかにした.富士山では,地質学・岩石学的データに基づいて長期的発達史についての重要な知見が得られた.さらに,遠地地震のレシーバ関数と富士山周辺の表面波分散曲線を合わせて逆解析することで富士山直下の深さ約50km以浅のS波速度構造を明らかにし,富士山直下の深さ20kmから40kmの深さに大きなマグマ溜まりが存在する可能性を示した.火口近傍の多項目観測データの解析を通じて,浅間山,霧島山新燃岳におけるブルカノ式噴火時の火道内部現象の理解が進んだ.ミュオグラフィによる密度観測と地震・地殻変動の解析結果を統合して,浅間山の火道浅部の位置を明らかにした.霧島山新燃岳の噴火では,噴火の推移とともにマグマの物理化学的性質がどのように変化したかを準リアルタイムで特定し,他の地球物理学的観測結果と比較する事により噴火モデルパラメータに制約条件を与え,当該火山噴火の総合的描像を得る上でも重要な役割を果した.口永良部島では,2015年5月噴火前後に,山頂付近に無人ヘリによる地震観測網を設置し,噴火直前の地震活動変化を捉えた.小笠原諸島の西之島では,航空機や人工衛星による画像解析,父島に設置した空振アレイ,西之島周辺の海域に設置された海底地震計の観測により,西之島の成長の様子を把握した.2016年10月には西之島の火山活動の上陸調査を実施し,2017年6月に回収された海底地震計,海底電位磁力計の解析結果とあわせて,地質学と地球物理学の両面から火山島成長のプロセスを検討しつつある.2017年,2018年の再活動に際しては,ドローンによる画像撮影と試料採取を行った.

 以下に,火山毎に主な研究を紹介する.

3.4 災害科学系研究部門

教授 古村孝志(部門主任), 壁谷澤寿海, 纐纈一起, 楠浩一
准教授 三宅弘恵(兼務)
助教 飯田昌弘
特任助教 原田智也
特任研究員 鈴木舞, Trevor Zhiqing Yeow
外来研究員 Bhattarai Mukunda, Rami Ibrahim, 司宏俊
共同研究員 伊藤嘉則, 大石裕介
学術支援職員 齊藤麻実
技術補佐員 鎌田恭子
大学院生 小林広明(D3), 潘浩然(D3), 尹淳恵(D3), 王 杰惠, (D1), 小川諄(M2), 壽一哲(M2), 村上譲(M2), 高野和俊(M2), 劉齊(M1), 棟田隆元(M1), 大峡充巳(M1), 王澤霖(M1), 呉康銘(M1)
 研究生 崔允範

災害科学系研究部門は,地震による強震動や津波などの現象の解明と予測を行い,それらによる災害を軽減するための基礎研究を理学と工学の視点から行う.観測,実験,解析,理論,シミュレーション,被害調査,資料分析などの手法によって,強震動地震学・津波地震学や耐震工学・地震工学などの分野の基礎的あるいは応用的な研究を行っている.本部門における最近の主な研究対象は,大地震による強震動の生成過程の理解のための震源過程研究,高密度強震観測,地震波伝播・強震動のコンピュータシミュレーション,構造物の被害調査,耐震性能評価に関する研究などである.