グループ5 防災教育推進と意識向上 の研究実施計画

代表者 富士常葉大学 小川雄二郎 LIPI Irina Rafliana

日本側メンバー インドネシア側メンバー

「防災啓発教育・教材と地域行政との連携体制防災教育」グループは,地域の危険性や地域の防災資源を容易に理解しうる教材をインドネシアの関連の研究成果や我が国で開発された津波の侵入と住民避難のアニメーションを活用して作成する.また,我が国で実績のある住民参加型防災教育方法と,研究者と地域行政の連携方法,地域防災指導者の育成方法をインドネシア側に提案し,共同してインドネシアに合った実施方法を研究する.そして,被災経験のあるバンダアチェと経験のないジャワ島のコミュニティで試行し,一般化を図る.

「災害教訓の収集と伝承」グループは,被災体験を次世代に継承していくための実践的研究を実施する.このため,被災体験が山積されているバンダアチェとその周辺部についてインドネシア研究者と共に聞き取りを行い,津波襲来時の時空間的特徴を明らかにする.証言に基づいて「生き残り体験」の絵画を作成し,災害教訓を伝承する防災教材に構成する.教材はインドネシア語と日本語及び英語で作成し,上記の防災教育で試用する.さらに,ワークショップを両国で開催し,その議論を踏まえて提案した手法の標準化を行う.

上記のような地域に根ざした実践的研究と並行し,よりグローバルな防災教育も重要である.このため,「インターネットを活用した防災教育の実験と展開」グループは,インドネシアの国情を考慮し衛星回線を活用した防災教育の実験と展開を実施する.ここでは慶応大学で実施されているインターネットによる遠隔教育環境SOI Asia(School on Internet Asia)を利用し,各研究グループで行われるセミナーやシンポジウムとインドネシア側が実施するアウトリーチ活動に適用する.遠隔会議,セミナー,講義の環境が構築されたことで,各大学でどのような防災教育が行われたかをWeb で公開し評価する.また,配信された防災教育をアーカイブ化し,その活用を図る.

グループ5


5-1 防災啓発教育・教材と地域行政との連携体制

課題担当者 富士常葉大学: 小川雄二郎 LIPI: Irina Rafliana

日本側メンバー インドネシア側メンバー

グループ5-1

参加型のハザードマップ作り

インドネシア側と共同して、効果的で理解しやすい学校教育用の教材、住民の防災教育のための教材を、これまでの調査実績や避難シミュレーションの可視化技術などを援用して作成し、その効果を調査する。我が国で実績のある住民参加型の防災啓発教育手法、研究者―地域行政―民間企業・NGO 等が連携した防災教育体制のインドネシアにおける適用方法を実践的に調査・開発する。


5-2 災害教訓の収集と伝承

課題担当者 静岡大学: 林 能成 UNSYIAH: Didik Sugiyanto

日本側メンバー インドネシア側メンバー

グループ5-2

被災体験の聞き取りと絵画化

アチェ州の沿岸の集落に多数埋もれている被災体験とサバイバルの教訓を聞き出すアンケートとヒヤリングを行い、得られた証言の客観性を津波の数値シミュレーションと比較して検証した上で視覚化(絵画化)し、「津波から生き残る方法」という冊子を作成する。


5-3 インターネットを活用した防災教育の実験と展開

課題担当者 慶応大学: 大川恵子 ITB: Basuki Suhardiman

日本側メンバー インドネシア側メンバー

グループ5-3 インドネシアでは5 大学がSOI Asia(アジア地域をカバーするインターネット遠隔教育ネットワークプラットフォーム)に参加しており、さらに同国内の32 の高等教育機関のネットワークINHERENTにリンク可能である。このネットワークを活用して、共同研究に関わっている日本側とインドネシア側の研究者による一連の遠隔講義を行い両国内のみならず東南アジアの諸国の教育機関に配信する。また、この研究プロジェクトのシンポジウムや会合にも活用し、その利便性を実証する。