金曜セミナー(平野史朗氏・立命館大)

平野史朗(立命館大理工)
断層のパルス状破壊の伝播速度は如何にして決まるか〜動的破壊の理論的記述に必要十分な物理量について

断層面を動的破壊が伝播する際の形態として、破壊先端の近傍のみに滑り速度が集中し、断層の中程では地震の最中であっても滑りが停止してしまうパルス状破壊が提唱されている。パルス状破壊は不均質のない2次元モデルにおいては単純な数理モデルで考察することができる。しかしこれまで永らく用いられてきたパルス状破壊の単純な数理モデルにおいては、摩擦係数や破壊エネルギー、それに初期応力といった(地震前から決まっているであろう)力学的パラメタを与えただけでは、破壊伝播速度や滑り進行領域(パルス)の長さといった運動学的パラメタが一意に定まらないという問題があった。 本講演では、Rice et al. [2005] のパルス状破壊モデルと、 Hatano [2009]による粉体層の数値モデルにおける摩擦法則とを融合させることで、力学的パラメタからパルスの挙動を一意に定める機構を紹介する。換言すれば、これはパルス状破壊を記述するために必要十分な力学的パラメタセットは何であるかということであり、強震動予測などにも重要な破壊伝播速度の値が如何にして決定されるかということでもある。加えて、異種媒質境界断層やsuper-shear ruptureなど、より複雑なモデルへの拡張可能性を、様々な先行研究を統合する統一的な数理モデルの観点から提唱する。 
 
参考文献
Rice, Sammis & Parsons, 2005, BSSA, 95, 109-134 -
Hatano, 2009, GRL, 36, L18304 -