東京大学地震研究所では、科研費などの外部資金による大型プロジェクト研究や受託研究などを進めています。以下は、主なプロジェクトの一覧です。左端の+をクリックすると、各プロジェクトの概要説明をご覧いただけます。
現在進行中のプロジェクト
人工知能と自然知能の対話・協働による地震研究の新展開 (SYNTHA-Seis) R3-R7
SYNTHA-Seisは、中核機関である東京大学地震研究所をはじめとする多くの大学・研究機関に所属する情報科学と地震学の専門家が結集し、地震と微動に関するデータ解析およびモデリングにおいて蓄積されてきた人間の経験と最新の人工知能を融合・相互発展させる「人工知能と自然知能の対話・協働」により、地震研究を加速させると同時に地震防災・減災に貢献します。また、「情報×地震」分野の創成と国民への啓発、ならびに若手研究者の発掘と育成にも尽力します。
国際ミュオグラフィ連携研究機構 (H30-R9)
ミュオグラフィの原理検証から技術シーズの作り上げへのステップをシームレスに埋め、実用化への橋渡しを容易にすると共に、多様な産学官共同研究を通して、国境、分野、部局ミッションの壁を超えた、技術、人材、ノウハウの組み合わせによるミュオグラフィの新たな社会的価値を創造する。
次世代地震計測と最先端ベイズ統計学との融合によるインテリジェント地震波動解析 (iSeisBayes) H29-R5
わが国では、千点以上の観測点で得られる高精度地震計測データが常時収集されていますが、これに加えて、建造物、電気・ガスのライフライン、スマートフォンが持つ加速度計等のデータを活用する次世代の地震計測ビッグデータベースが構築されつつあります。本研究は、最先端ベイズ統計学を武器に、多種多様な地震計測データを包括的に解析するためのアルゴリズム群開発に取り組み、地震防災・減災や地震現象の解明に役立てます。
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地震火山史料連携研究機構 H29-R6
地震火山史料連携研究機構は、東京大学の地震研究所と史料編纂所が連携して設
立されました。この学際的な研究機構では、歴史学者と地震学者が協力して史料
の収集・編纂と分析を実施し、日本における地震活動や火山活動の長期的な情報
を提供できる科学的なデータベースを構築しています。このような歴史時代のデー
タは、地震や火山の危険性の長期的な予測には不可欠です。
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立されました。この学際的な研究機構では、歴史学者と地震学者が協力して史料
の収集・編纂と分析を実施し、日本における地震活動や火山活動の長期的な情報
を提供できる科学的なデータベースを構築しています。このような歴史時代のデー
タは、地震や火山の危険性の長期的な予測には不可欠です。
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日本海地震・津波調査プロジェクト(H25-R2)
2011年3月11日の「東北地方太平洋沖地震」により発生した大津波は、日本列島の広範な地域に極めて甚大な人的・物的な被害を及ぼし、防災対策の見直しが必要になっています。日本海側には、津波や強震動を引き起こす活断層が多数分布しており、1983年の日本海中部地震や1993年の北海道南西沖地震では、津波による深刻な被害が発生しました。これらの津波や強震動を引き起こす断層については、文部科学省の「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究(平成19~24年)」において新潟・新潟沖~西津軽沖にかけて調査が実施され、震源断層モデルが構築されています。しかし、その他の地域については、震源断層モデルや津波波源モデルを決定するための観測データが十分に得られていません。このような日本海側の地震・津波災害に対する情報不足は、自治体・事業者・住民等が防災対策をとる上での懸念材料となっていることはご承知のとおりです。このような問題に対応するために、文部科学省「日本海地震・津波調査プロジェクト」(委託先:東京大学)では、2013年9月から8カ年に渡り日本海の沖合から沿岸域及び陸域にかけての領域で観測データを取得し、日本海の津波波源モデルや沿岸・陸域における震源断層モデルを構築します。また、これらのモデルを用いて津波・強震動シュミレーションを行い、防災対策をとる上での基礎資料を提供するとともに、地震調査研究推進本部の実施する長期評価・強震動評価・津波評価に資する基礎データを提供します。また、津波・地震災害予測に対する社会的要請の切迫性に鑑みて、調査・研究成果にもとづいた防災リテラシーの向上を目指して、地域研究会を立ち上げ、行政・研究者・ライフライン事業者などの間で、日本海とその沿岸の津波・地震災害予測に関する情報と問題意識の共有化を図ります。
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終了したプロジェクト
スロー地震学(H28-R2)
近年、世界中で発見されている「スロー地震」の発生様式、発生環境、発生原理を地球物理学的観測、データ解析、地質観察、岩石実験、物理理論、数値計算等を用いて解明する。従来の地震学だけでなく、物質科学や非平衡統計物理学のアプローチを融合することで、「低速変形から高速すべりまでの地震現象の統一的な理解」を飛躍的に進め、かつ同時により徹底し た地震研究の再構築を目指す。海外の研究者も本研究領域に取り込み、世界各地の断片的な現象、観察事実を、日本における総合 的理解と比較することで、スロー地震の包括的な理解とスロー地震発生地域間の研究交流の促進を目指す。
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都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト(H24-H28)
我が国の観測史上最大のマグニチュード9を記録した東北地方太平洋沖地震は、広範囲にわたる大きな揺れ、大津波、原子力発電所の事故をはじめとする未曾有の広域複合災害を引き起こし、これまでとは異なる新たな地震災害像を示しています。広範な液状化、多数の帰宅困難者、交通機関の麻痺、事業活動の停止、電力やライフラインの途絶、日常生活物資の不足等々、都市特有の課題が顕在化し、大地震に対する備えの重要性が改めて認識されました。多くの機能が集中高度化し、社会経済活動の中枢である首都圏は、災害に対する脆弱性を内在しており、予期せぬ大災害へ発展するおそれがあります。そこで、今後予想される首都直下地震や、東海・東南海・南海地震等に対して、都市災害を軽減することを目的に、5カ年の研究開発プロジェクトが実施されることとなりました。
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立川断層の重点的調査観測(H24-H26)
文部科学省では、平成24年度から、「立川断層帯の重点的な調査観測」(受託先:東京大学地震研究所、研究代表者:佐藤比呂志)を実施しています。立川断層帯については、震源断層の形状については不明な点が多く、また長期評価に重要な活動履歴の信頼性は低いとされ、過去の活動時期についてさらに精度良く絞り込む必要があります。また、断層帯の走向から相当程度あると想定される横ずれ成分の平均的なずれの速度は全く不明です。さらに想定震源域が人口稠密地に位置することから、より精度の高い強震動予測が必要になります。こうした背景から、本プロジェクトでは、立川断層帯で発生する地震の規模の予測、発生時期の長期評価、強震動評価の高度化に資することを目的とした研究を行います。自然地震観測・地殻構造調査・変動地形および古地震調査・強震動予測など、総合的な調査研究が、3カ年にわたって実施されます。
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ふつうの海洋マントル(H22-H26)
本特別推進研究は、本研究グループが独自に開発した世界最先端の海底地震・電磁気観測技術を駆 使し、長期海底機動観測から、現代固体地球科学の最重要課題「リソスフェア・アセノスフェア境 界の物理条件はなにか?」「マントル遷移層は水の貯蔵庫か?」の二課題に対して、明快な答を提出 することを目的として5 年間で実施する。
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若手研究者の自立的研究環境整備促進プログラム(H19-H23)
若手研究者の育成はこれまで個々の部局で取り組まれてきており、全学的な支援の仕組みはなかったが、本事業により、特に優秀な若手研究者の自立を全学的に支援する仕組みを構築する。本事業の支援対象となる気鋭の若手研究者を広く国際公募で募り、スタートアップ資金、スペース、研究サポートスタッフなどを一定期間提供し、厳正な審査を通過した研究者をテニュア制へと移行する。全学的な委員会を総長室の下に設置し、対象となる研究者の選考、受け入れ部局の決定、中間・最終評価およびテニュア審査を行う。
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東北地方太平洋沖で発生する地震・津波の調査観測(H23-H25)
東北地方太平洋沖地震については、M9.0 というこれまでに日本国内で観測された最大の地震であり、現在でも活発な余震活動や余効変動が続いています。今後も大きな余震やそれに伴う津波が発生する可能性が高いことから、今回の地震の震源域に隣接する領域を含めた広い陸海域での調査観測や研究を行い、今回の地震のような巨大な海溝型地震や津波の発生メカニズム等の解明を図り、防災・減災に資する情報を収集することが重要です。そのため、千島海溝から日本海溝沿い(根室沖から房総沖まで)の海域において、地震・津波の調査観測を行い、本海域で今後発生する地震・津波の規模や発生確率等の評価の高度化に資することを目的とし、平成23年度より、調査観測を実施しています。
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ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究(H19-H24)
近年,「ひずみ集中帯」と呼ばれる褶曲-断層帯において立て続けに大きな被害地震が発生している(例えば,平成16年10月の新潟県中越地震や平成19年7月の新潟県中越沖地震など).しかしながら,これらの地域では地震調査観測がこれまで十分に行われておらず,ここで発生する地震像を明らかにするための調査研究を行う必要性が高まっている。そこで,東北日本の日本海側の地域及び日本海東縁部に存在するひずみ集中帯等において重点的な調査研究・観測を実施し,ひずみ集中帯の活断層及び活褶曲等の活構造の全体像を明らかにし,震源断層モデルを構築することにより,ひずみ集中帯で発生する地震の規模の予測,発生時期の長期評価,強震動評価の高度化に資することを目的とする「ひずみ集中帯の重点的調査研究・観測」プロジェクトが実施されることとなった。
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首都直下地震防災・減災特別プロジェクト(H19-H23)
地震調査委員会の長期評価において,南関東で発生するM7程度の地震の今後30年以内の発生確率は70%程度と予測された.また,中央防災会議の専門委員会では,首都直下地震の一つである東京湾北部地震では,最大で死者数約11000人,経済的被害112兆円と推定した.このような首都直下地震は,切迫性が高く被害も甚大なものであるが,一方でM7程度の地震の詳細は明らかとなっていない.そこで,首都直下地震の全体像を解明するとともに,地震による被害の軽減と首都機能維持に資することを目的とする「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」が実施されることとなった.
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インドネシアにおける地震火山の総合防災策(H20-H24)
糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測(H17-H21)
東南海・南海地震等に関する調査研究(H15-H19)
スタナグナントスラブマントルダイナミクス(H16-H20)
海半球プロジェクト(H9-H13)
平成19年能登半島地震に関する総合的研究(H19)
大都市圏地殻構造調査(H14-H18)
移動体搭載型重力計システムの高度化と実海域における実証試験
四方を海に囲まれた我が国は、世界第6位の広さを誇る排他的経済水域を有する海洋国家であり、これらの海域には、海底熱水鉱床やコバルトリッチクラスト等の多様な海洋鉱物資源が存在しています。新たな海洋立国の実現を目指し総合的な海洋政策を推進するため、海洋基本法(平成19 年7月施行)に基づき策定された海洋基本計画(平成20 年3 月閣議決定)においては、これらの海洋資源に関し、海底熱水鉱床について、今後10 年程度を目途に商業化を目指すとともに、コバルトリッチクラストについて、今後、調査・開発のあり方を検討することとされています。これらの海洋鉱物資源について商業化を図るためには、その資源量を正確に把握し、経済性評価を行うことが必要不可欠です。しかし、海洋鉱物資源の資源量を広域かつ効率的に探査するために必要な技術は必ずしも十分に確立されているとは言えず、さらなる技術開発が求められていました。 東京大学地震研究所では、計測器を海中無人探査機に搭載して、重力加速度と重力鉛直偏差を同時に測定し、得られたデータを適切に処理、解析することにより、0.5mgal 程度の重力異常を判別して厚さ10m、周辺の岩石との密度差1g/cm3 の鉱床において想定される重力異常を検出する海洋鉱物資源探査技術の開発・実証試験を実施しています。
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