着任セミナー(7月10日)竹尾明子氏

「構造および震源解析における広帯域地震学の可能性」


私はこれまで、広帯域地震計記録の解析を通じて2つの研究テーマに携わって来た。1つ目は、海洋最上部マントル構造推定によるプレートテクトニクスの理解である。広帯域海底地震計記録の表面波を解析し、海洋リソスフェア・アセノスフェアの異方性を含むS波速度構造を求めて来た。その結果、年代と共に変化する速度構造や方位異方性の深さ変化などを明らかにしてきた。2つ目は、スロー地震の震源過程の解明である。こちらのテーマでは短周期地震計記録および広帯域地震計記録を組み合わせて深部低周波微動と深部超低周波地震の関係を明らかにしてきた。その間、紀伊半島・北西太平洋・米セントヘレンズ山・四国南西部の計4カ所による広帯域地震計観測にも関わって来た。セミナーでは、これまでの研究で得られた結果、さらには今後の研究の方向性をまとめる。特に海洋の構造推定やスロー地震研究において広帯域地震計の果たしてきた、または、果たすであろう役割を自分なりに述べる。また、地震研究所ならではの観測計画や共同研究の可能性についても言及したいと考えている。