能登半島地震余震に見られる非ダブルカップル成分

悪原岳,篠原雅尚,山田知朗,東龍介,日野亮太,尾鼻浩一郎,高橋努,藤江剛,小平秀一,村井芳夫,馬塲久紀,山下裕亮,八木原寛

Non-double-couple components of the 2024 Noto earthquake aftershocks: influence on focal mechanism estimation

Earth, Planets and Space, 77, 145. https://doi.org/10.1186/s40623-025-02279-6

 
 地震発生時に地下の断層がどう動いたかを示す手法として、「震源メカニズム解」が用いられます。これは、白黒の「ビーチボール」のような記号によって視覚的に表現されます(図1a)。このビーチボールの向きや分布を調べることで、地震を引き起こした断層の向きや、地面を押したり引いたりする力の向きを知ることができます。

 2024年1月に発生した能登半島地震の余震についても、この震源メカニズム解の調査が行われました。その結果、海底地震計のデータから求めた震源メカニズム解と、陸上の地震計のデータから求めた震源メカニズム解とで、向きに違いが見られることが報告されていました。本研究では、能登半島地震の余震が「非ダブルカップル成分」とよばれる性質をもつことを明らかにし、それが震源メカニズム解の不一致をもたらす原因であることを解明しました(図1c)。
 非ダブルカップル成分とは、地震が単純な断層のずれでは説明できないことを示す指標です。この成分が大きいとビーチボールの模様がいびつになり(図1b)、たとえば「断層面が曲がっている」、「地面が断層の向きとは別の方向にも動いている」、「地殻に力が加わったときの変形が対称ではない」といった、通常の地震とは違う複雑な現象が表れていると考えられます。今後、非ダブルカップル成分を詳しく調べることで、能登半島地震の発生メカニズムをより深く理解できると期待されます。

図1.(a)震源メカニズム(ビーチボール)の例。 (b)非ダブルカップル成分を含む震源メカニズムの例。(c)本研究で得られた非ダブルカップル成分を含む震源メカニズム解。青色や赤色のビーチボールは、非ダブルカップル成分の一種であるISO成分(体積変化を伴う成分)が有意に含まれていることを示し、灰色は有意でないことを示す。