設立の理念

地震研究所官制の一部、興味深い箇所を抜き出してみましょう。ここには新しい地震研究所の特色が、よく現れています。

第1条  東京帝国大学ニ地震研究所ヲ附置ス
第2条 地震研究所ハ地震ノ学理及震災予防に関スル事項ヲ掌ル
第4条 所長ハ帝国大学教授ノ中ヨリ文部大臣之ヲ補ス 所長ハ東京帝国大学総長ノ監督ノ下ニ於テ地震研究所ノ事務ヲ掌理ス
第5条 所員ハ帝国大学ノ教授及助教授其ノ他ノ関係各庁高等官ノ中ヨリ文部大臣之ヲ補ス 所員ハ所長ノ監督ノ下ニ於テ研究ヲ掌ル

まず東京帝国大学に「附置」する日本の地震研究所であること、「地震の学理と震災予防」を掌ること、所長は東京帝国大学教授に限定されないこと、所員は東京帝国大学や他の帝国大学の教授・助教授に限らない開かれた組織であること等が、明確に示されています。残されている当時の公用封筒には、「東京帝国大学構内  地震研究所」と2行に分かち書きされています。 また帝国大学の教授で所員となった者は、学生対象の講座を受け持つことなく、研究に専念できることになっていました。

公用封筒