末広恭二という、それまでの地震学とは無縁の世界から迎えた所長の下で動き出した地震研究所ですが、その流れを確かなものにしたのは、石本巳四雄と妹澤克惟という、いずれも地震学とは無縁な世界から招かれた2人の研究者でした。
末広の後を継いで第2代所長を務めた石本は、東京帝国大学理科大学実験物理学科を卒業。同工科大学造船学科、三菱造船研究所に勤務した後、フランスに留学。帰国してからは、東京帝国大学助教授として地震研究所に入り、初めて地震学・地震工学の世界に足を踏み入れます。
また第4代所長となる妹澤は、東京帝国大学工学部造船学科卒業。翌年には東京帝国大学助教授となり、造船工学が専門であった末広のもとで、「振動論」の研究を専らにします。
いずれも東京帝国大学の造船学科に繋がる人脈によって、地震研究所の基礎が築かれたことは明かであり、それまでの東京帝国大学地震学科の流れとは、全く異なる方向に一歩を踏み出しました。またそれに止まらず、2人は40代で亡くなったにも関わらず、地震学・地震工学に大きな功績を残すことになります。