入力波動場に基づく非線形地盤での3次元地盤ー建物相互作用解析法

Masahiro Iida

International Journal of Geomechanics, American Society of Civil Engineers, 17(3), Paper No. 04016081 (2017).

DOI: 10.1061/(ASCE)GM.1943-5622.0000780.

既存の方法で構造物の応答解析を実施すると、説明できないことがたくさんあります。その最大の原因は、構造物の応答解析法において、地震波動を適切に考慮できていないことです。そこで、図に示すように、深い地下構造内に適切な波動状態を実現して、地盤と建物の相互作用解析を実施する方法を開発しています。

地震被害は、建物の1階や構造物の地盤との接触部に集中します。阪神大震災の時には、建物の中間階で多くの被害が見られたので、逆に大きな話題になりました。しかしながら、既存の応答解析法では、1階の応答が大きくなるという結果が得られません。

現在の研究は、深い地下構造内に適切な波動状態を実現して、非線形地盤での地盤と建物の相互作用解析法を開発したものです。東京湾の埋立区域において、中層の鉄筋コンクリートビルと2階建の木造建築に解析法を適用しました。

開発した解析法によって、中層の鉄筋コンクリートビルの1階に集中する被害を、初めて説明することができました。他方、2階建の木造建築の同様の被害は、説明できませんでした。このことは、2つの建物の応答の性質が大きく異なり、木造建築では別の原因がある、ことを示唆しています。

中層の鉄筋コンクリートビルと木造建築に対して使用された、3次元の上部構造ー基礎ー杭ー地盤系の平面図と側面図。波動状態を評価するための深い地下構造も表示されている。