入力波動場に基づく様々な建物の相対地震危険度評価

Masahiro Iida, Masanori Iiba, Koichi Kusunoki, Yuji Miyamoto, and Hiroshi Isoda

International Journal of Geomechanics, American Society of Civil Engineers, 17(9), Paper No. 04017068 (2017).

DOI: 10.1061/(ASCE)GM.1943-5622.0000967.

<解説> 既存の方法で構造物の応答解析を実施すると、説明できないことがたくさんあります。その最大の原因は、構造物の応答解析法において、地震波動を適切に考慮できていないことです。そこで、図に示すように、深い地下構造内に適切な波動状態を実現して、地盤と建物の相互作用解析を実施する方法を開発しています。

現在の研究では、適切に評価した波動状態における地盤と建物の線形の相互作用解析法を使用して、東京湾の埋立区域において、低層から高層の鉄筋コンクリートビル、低層から高層の鉄骨ビル、(低層の)木造建築、の応答を比較しました。進んだ応答解析法を使用して、こうした比較が実施されたことはこれまでありません。その理由は、個々の専門家は、1つの構造物の上部構造(地表部分)もしくは下部構造(地下部分)のみを扱うからです。

得られた応答の性質から、これらの建物を4つのグループに分類しました。それらは、(1)低層の鉄筋コンクリートビルと鉄骨ビル、(2)地盤と共振する中層の鉄筋コンクリートビルと鉄骨ビル、(3)高層の鉄筋コンクリートビルと鉄骨ビル、(4)木造建築です。得られた応答結果は、他の軟弱地盤においても十分参考になると思います。

越中島観測点において使用された、3次元の上部構造ー基礎ー杭ー地盤系の2例の平面図と側面図。左側は、杭のない2階建の鉄筋コンクリート、鉄骨ビルに対する系、右側は、杭を持つ8階建の鉄筋コンクリート、鉄骨ビルに対する系である。波動状態を評価するための深い地下構造も表示されている。