地震火山災害予防賞の公募が始まりました:平成28年度の候補者公募のお知らせ
計算
【共同利用】平成29年度共同利用及び客員教員の公募開始
平成29年度共同利用の公募、平成29年度客員教員の公募
締切:平成28年10月31日(月)
詳細:共同利用ページ
着任セミナー(木下正高教授)
掘削と海底観測から探る南海トラフ地震発生帯
木下正高(k
概要:2007年以来,我々は南海トラフ巨大地震発生帯固着域と浅部断層,上盤,沈み
込む前の地層,に掘削を行い,海底観測データとあわせてこれらの特性・状態から地
震発生の場を知ることに挑戦している.今回は3次元構造探査結果と合わせて,温度
場・応力場に関する成果を中心に,南海トラフ地震発生帯の状態について,これまで
に分かったこと,そして今後の計画を紹介する.
【10月15日】地震研ホームカミングデイへのお誘い
「地震研ホームカミングデイ」が今年も開催されます。
温故知新
黒川愛香・武尾実・栗田敬
Journal of Geophysical Research doi:10.1002/2015JB012500
本論文は1986年11月に起きた伊豆大島三原山の噴火の火山性微動の解析結果の報告である.三原山は近年30~40年間隔で噴火を繰り返しており、1986年の噴火はもっとも最近の噴火である.この噴火では中央火口での噴火後2日ほどの休止期間を経て規模の大きな割れ目噴火が生じた.この噴火の拡大は予想外の出来事で、その後1ヶ月に及ぶ全島民避難を余儀なくされ、当時火山学の未熟さが痛感された.30年前の事象ではあるが、その後の地震学・火山学の進展による新たな知識をもとに再度見直しておくことは今後の噴火を考える上で有益であろう.
1986年噴火には幾つかの未解明な謎が残されている.マグマ種の異なる2種の噴火はどのように準備されたのか、地下のマグマ供給系はどうなっていたのか、と言う問題.長期的には電気伝導度の変化など顕著な予兆現象から噴火は予想されていたが、中央火口噴火から割れ目噴火と言う噴火の推移は全く予測されていなかった.これはなぜか? その後多くの研究から火山性微動がマグマの活動の有効な指標である点が明らかにされてきた.本研究では当時のアナログ収録の地震記録のデジタル化を試み、火山性微動の解析を行った.残念ながらデータの劣化が激しく記録の完全なデジタル修復は出来なかったが、ノイズの多いデータながら幾つかの極めて興味深い結果が得られた.まず微動は中央火口噴火に対応した連続型微動と割れ目噴火に対応した断続型微動に分けられた(図1).その震源はAkiらによる震幅法に基づいて決定され、連続微動はほぼ中央火口下に集中したのに対し、断続微動は割れ目噴火と平行な北西−南東の方向に拡がった(図2).興味深い点は中央火口の噴火・連続微動が停止した11月19日から割れ目噴火の開始(11月21日)までの間割れ目噴火の位置で断続微動が発生し続けていた点である.このことは地表で割れ目噴火が生じる少なくとも一日前には割れ目下部へのマグマの供給が始まっていたと解釈できる.更に連続微動の中に埋もれていた断続微動を抽出し、その震源を決めると例えば11月17日の段階で既に割れ目へのマグマ注入が起きていたことが明らかになった(図3).このことは微動の連続的なモニターにより噴火推移の予測は十分に可能であることを示している.



2014年チリ北部地震M8.2の発生前に見られた加速的な固着の剥がれ
加藤 愛太郎・福田 淳一(東京大学地震研究所),熊澤 貴雄(統計数理研究所),中川 茂樹(東京大学地震研究所)
Scientific Reports, 6, 24792, doi:10.1038/srep24792.
25 April 2016 (Online publication) http://www.nature.com/articles/srep24792
2014年4月1日にM8.2の地震が、沈み込むナスカプレートと陸側の南アメリカプレートとの境界で発生しました。この地震の発生前の地震活動を高い精度で推定して地震カタログを新たに構築し、その時空間発展を詳細に分析しました。また、この地震カタログを用いて、プレート境界面上の非地震性すべり(ゆっくりすべり)の指標と考えられる繰り返し地震の抽出を行いました。さらに、この地震カタログに対してEpidemic Type Aftershock-Sequences (ETAS)解析(e.g., Kumazawa and Ogata, 2013)を適用することで、常時地震活動度の時間変化の推定を試みました。常時地震活動度の変化から、非地震的な何らかの変動(例、ゆっくりすべり、流体の移動)が地下で起きたと解釈できます。
2013年夏までは、地震の蓄積個数、非地震性すべりや常時地震活動度は、時間の経過に対して概ね線形で増加していました。非地震性すべりの増加率は約0.6 cm/年と本地域における収束速度約7 cm/年と比べて有意に小さいことがわかります。これは、本地域のプレート境界面の固着率が高い状況であることを意味し、測地学的解析結果とも整合します。
ところが、2013年夏(本震発生の約270日前)から本震発生までの間、地震活動度、非地震性すべり量、常時地震活動度、震源移動現象の発生頻度が間欠的に増加し始め、その増分も時間とともに大きくなりました(図1)。さらに、前震活動が最も活発であった本震発生前の約2週間には、陸上のGNSS観測網によりプレート境界面の固着が緩んだことを示す変位が地表で生じたことが報告されています(e.g., Ruiz et al., 2014)。繰り返し地震により明らかとなった非地震性すべりの存在を考慮すると、地震性すべりと非地震性すべりの両方が本震発生前の間欠的な固着の剥がれに寄与していたことが考えられます(e.g., Kato and Nakagawa, 2014)。
本震の破壊領域の端で固着が加速的、且つ、間欠的に剥がれることで破壊域への応力集中が生じ、本震の発生が促進されたと考えられます。大地震の発生前に固着の剥がれが加速的に進行していた点を明らかにしたことは意義深いものの、固着の剥がれが間欠的に生じるため、大地震が発生する時期を精度良く予測することは非常に困難なこともわかります。
【参考文献】
Kato, A., and S. Nakagawa (2014), Multiple slow-slip events during a foreshock sequence of the 2014 Iquique, Chile Mw 8.1 earthquake, Geophys. Res. Lett., 41, doi:10.1002/2014GL061138.
Kumazawa, T., and Y. Ogata (2013), Quantitative description of induced seismic activity before and after the 2011 Tohoku-Oki earthquake by nonstationary ETAS models, J. Geophys. Res., Solid Earth, 118, 6165–6182.
Ruiz, S., M. Metois, A. Fuenzalida, J. Ruiz, F. Leyton, R. Grandin, C. Vigny, R. Madariaga, and J. Campos (2014), Intense foreshocks and a slow slip event preceded the 2014 Iquique Mw 8.1 earthquake, Science, 345, 1165–1169, doi:10.1126/science.1256074.
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業2016/JST Sakura Science Plan 2016
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)が、今年も開催され、2016年7月に、10名の参加者が来所しました。参加国は、中国、台湾、韓国、インド。
写真は東北巡検で立ち寄った中尊寺での集合写真。
JST: Sakura Science Plan,held from July, 2016. 10 students from China, Taiwan, Korea and India visited ERI.
Picture taken at Chusonji (a temple in Iwate prefecture).
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業2016/ JST Sakura Science Plan 2016
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)2016:
今年の東北巡検では、名取市にある津波復興祈念資料館『閖上の記憶』を訪れ、館長の小斎さんの被災経験や当時の様子などについてのお話を伺いました。
写真は、歴史的にも閖上に津波が訪れていたことを示す碑を説明する小斎さんと、それを読もうとしている台湾人学生。
JST: Sakura Science Plan 2016:
A visit to “Memoire de Yuriage” in Natori city, Miyagi prefecture. Yuriage is one of the most tsunami devastated area by the time of 3.11, and this resource center for tsunami recovery was built for the purpose of tsunami victims to gather and to recover by sharing their experience. Mr. Kosai, the director of this center, had shared with us about his own experience as a tsunami victim and how the city was at that time.
Picture: Taiwanese student trying to read the historical monument which states that this area has been stuck by tsunami repeatedly.
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業2016/JST Sakura Science Plan 2016
JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業2016
プログラム最終日にされたポスター発表の様子。また、この後修了式・懇親会も開催され、所内の教員や学生との交流を楽しんだ。
JST Sakura Science Plan 2016
Last day at the poster presentation. The certificate ceremony and farewell party was held after this together with faculties and students in ERI.