T. Ueda and A. Kato (2019).
Geophysical Research Letters, 46, 3172–3179.
https://doi.org/10.1029/2018GL081789
地震活動は、降雨や灌漑などの地表や地下浅部に応力変化をもたらす現象に伴って季節変動を示すことがあると言われています。地震活動は大地震発生後に活発になる性質があるため、季節変動を含む長期的な地震活動の変動を知るためには、地震によって誘発された地震活動を取り除くことが重要です。我々は時空間ETASモデルと呼ばれる地震活動の数理モデルを用いて地震によって誘発される活動を取り除くことで、山陰地方のM(マグニチュード)3.0以上の地殻内地震の活動に対して季節変動性を評価しました。
その結果、山陰地方の地震活動は春と秋に活発になる傾向があることがわかりました(図1左)。さらに、過去に発生した大地震も春と秋に多く発生している特徴がみられることから、長期間にわたって地震活動に季節変動性があることが示唆されました(図1右)。
今回明らかになった季節変動は、春は雪解けによる地下浅部の応力変化、秋は降水量の増加による断層強度の弱化によって地震活動が活発になったものと解釈しました。今後、様々な領域で同様の検討を行うことで、地震活動の長期的な変動をもたらす原因の理解が深まることが期待されます。