Ji Zhang、加藤愛太郎、Wei Wang、酒井慎一、松本聡、飯尾能久
東京大学地震研究所、中国科学院地質・地球物理研究所、九州大学、京都大学
Widespread non-double-couple earthquakes revealed by a dense seismic network in Tottori, Japan
Earth and Planetary Science Letters, 697 (2027), 120417.
https://doi.org/10.1016/j.epsl.2026.120417
地震の多くは、断層面に沿った単純なずれとして説明されます。しかし実際の断層では、流体の移動や複雑な断層形状、断層周辺の岩石の破壊などが、地震の起こり方に影響している可能性があります。こうした影響を調べるには、地震の震源過程を詳しく捉える必要があります。
我々は、2000年鳥取県西部地震の震源域に設置された約1,000点の高密度地震観測網の記録を解析しました。機械学習を用いて地震波の到着時刻と初動の向きを判定し、4,033個の小地震のうち1,873個について、地震波から震源の断層運動を詳しく推定しました。その結果、本研究で定めた基準では、解析した地震の半数以上に、一般的な断層のずれだけでは説明できない「非ダブルカップル成分」が含まれることが分かりました。
非ダブルカップル成分を含む地震は、地震時に大きくずれ動いた領域の境界付近や、地震波の速度が遅い領域の近くに多く見られました。これらの震源過程は、断層のずれに岩石の割れ目が開く動きが加わった場合や、向きの異なる複数の断層が動いた場合に説明できました。こうした特徴は、流体や複雑な断層構造、岩石の損傷が地震の破壊過程に関係している可能性を示しています。ただし、観測された震源の特徴だけから、その原因を一つに特定することはできません。
本研究は、小さな地震の中にも、単純な断層すべりだけでは説明できない複雑な破壊過程が広く見られることを示しました。高密度観測によって多数の小地震を詳しく調べることは、地震を生み出す断層の性質や、破壊過程の多様性を理解する手がかりとなります。

図 鳥取県西部の地震に見られる非ダブルカップル成分。
a, b:各地震のCLVD成分と等方成分の割合。c:高品質な震源メカニズム解におけるNDCサークル半径の分布と、その代表例。
