加藤愛太郎・上田拓(東大地震研)
Source fault model of the 2018 Mw 5.6 northern Osaka earthquake, Japan, inferred from the aftershock sequence
Earth Planets Space, 77:11, https://doi.org/10.1186/s40623-019-0995-9, 2019.
2018年大阪府北部地震に伴う余震活動に関して,震源の再決定,余震の追加検出及び活動解析を実施した。その結果,大阪府北部地震に際して,北北西-南南東走向の東側傾斜(約45度)の逆断層が最初にずれ,約0.3秒後に東北東-西南西走向の高角傾斜の横ずれ断層に破壊が伝播し,その後は同時に断層運動が起きていたことが推察された。これらの断層面と上町断層帯の深部延長との詳細な関係は不明ではあるが,大阪府北部地震が上町断層帯などの東側傾斜の逆断層に与える応力変化を計算したところ,断層運動を促進する方向に約0.1MPaの応力変化を引き起こしたことがわかった。本研究により,水平圧縮応力場が卓越する近畿圏においては,逆断層と横ずれ断層が同時に活動することで1つの地震になる場合があることが明示された。逆断層と横ずれ断層の活断層が共存する近畿圏では,地震ハザード評価において両断層の連鎖的破壊も考慮することが今後必要である。また,震源域の北部延長では,地震活動が遅れて活発化しており,その領域の背景地震活動度は時間とともに徐々に増加する傾向を示した。このことは,本震によって震源域の北部延長(地殻内)で非地震的な変形が引き起こされた結果だと解釈できる。