金曜セミナー(11月13日)行竹洋平氏
箱根火山の群発地震の特徴とその発生メカニズム
行竹洋平氏(神奈川県温泉地学研究所)
箱根火山は過去に群発地震活動が繰り返し発生し、最近では2015年4月末より活発な地震活動が観測され、さらに6月末に大涌谷でごく小規模な水蒸気噴火が発生した。発表では、群発地震の詳細な震源分布及び地殻構造から、箱根火山のマグマ-熱水系と地震活動との関係について議論する。
火山下深さ6kmより浅部で発生する群発地震活動において、熱水あるいはガスの移動と地震発生との関係を示唆する震源移動が観測され、また地震波トモグラフィー法から深さ10km付近にマグマの存在を、より浅部で熱水やガスの存在を示す低速度異常が推定された。さらに、S波異方性を用いた解析から、火山浅部が非常に破砕された構造であることが示された。こうした結果から、深さ10km付近のマグマから熱水やガスがより浅部に発達した微細断層系を通じて移動し、その過程で群発地震が発生していると考えられる。このマグマ起源の熱水やガスは大涌谷の地熱活動や箱根の温泉の形成にも深く寄与していると考えられる。