金曜日セミナー:着任セミナー(2020年10月23日)臼井嘉哉氏(地震予知研究センター 助教)
3次元インバージョンによる浅間山、沖縄トラフ伊平屋北海丘、跡津川断層周辺域の電気比抵抗構造モデリング
地下の電気比抵抗値は温度、岩石及び間隙流体の種類、間隙流体の量やその連結度などに依存し、流体分布など地下の状態を明らかにする上で重要なパラメータの1つである。電気比抵抗構造を推定する代表的な地下構造探査方法の1つであるmagnetotelluric法 (MT法)は1950年代に基礎理論が確立され、現在に至るまでモデリング技術が発展し、近年は3次元インバージョンを用いた比抵抗構造モデリングが普及してきた。本セミナーでは講演者がこれまで開発してきた四面体要素を利用した地形によるDistortionに対してロバストな3次元インバージョン手法及び通常のMT法とNetwork-MT法のジョイントインバージョン手法を紹介するとともに、それらの適用例として浅間山、沖縄トラフ伊平屋北海丘、跡津川断層周辺域の電気比抵抗構造について紹介する。このうち、浅間山、伊平屋北海丘では3次元インバージョンにより地下の貫入、固結したマグマの存在が示された。また、跡津川断層周辺域では、跡津川断層、牛首断層、高山・大原断層帯下の下部地殻にせん断帯と考えられる低比抵抗域が局在していることを明らかにした。