タイトル:物理モデリングによるマントルダイナミクスの解明
要旨:
マントルダイナミクスを理解するためには、多種多様な観測データの解析・解釈が必要不可欠である。そしてその際に最も基本的な情報となるものがマントル内部の岩石の流れ、温度、岩石の隙間に存在する流体(水やメルト)の移動や分布である。私はこれまで主に日本周辺の沈み込み帯に対してこれらの推定を行い、そこからデータ解釈の物理的な妥当性の検証と仮説の検証に必要な観測量の予測を行ってきた。今回はその中でも特に、(1)地震波異方性(特にP波異方性)による東北地方マントルウェッジ内における小規模対流の検出可能性、(2)スラブの複雑な形状による流体の3次元的な移動と地震活動との関係、(3)ベイズ推定に基づく温度構造の不確定さを議論するための枠組みの構築、について紹介する。また最後に、現在進めている研究についても触れる予定である。