金曜日セミナー (2021年10月1日) 中島淳一(東工大)

普通の地震と低周波地震と繰り返し地震

これまで主に火山深部やプレート境界で発生すると考えられていた低周波地震・ 繰り返し地震は日本列島下の地殻の至る所で発生することがわかってきた。低周波地震と通常地震の波形の周波数成分は連続的に分布し,その間にギャップは存 在しない。また繰り返し地震は通常地震が発生する断層面上に分布し,その発生 間隔は間隙流体圧の大きさと反比例するという特徴がある。プレート境界の繰り返し地震の背後に準静的なすべり(非地震性すべり)があるという従来の解釈を考慮すると,すべての地震は,A) 間隙圧の上昇によって既存断層面の強度が低 下し,B)そこで非地震性すべりが発生し,C)その中のアスペリティパッチがすべることによって発生すると結論づけられる可能性が高い。それらの地震のうち,間隙水圧が極めて高い場合には低周波地震,また孤立したパッチが繰り返しすべった場合には繰り返し地震として識別されると考えられる。全ての地震の背後には非地震性すべりがあると考えると,プレート境界地震で発生する繰り返し 地震も含めたすべての地震を統一的に理解できる可能性が高い。