金曜日セミナー(2024年11月8日)望月 公廣 (地震予知研究センター)

題目:地震発生帯浅部まで沈み込んだ海山周辺の地殻構造と地震活動

 

要旨:
世界の沈み込み帯では,海山に代表される地形の高まりが沈み込んでいる事例は少なくない.日本周辺に限ってみても,日本海溝沿いの青森県沖,茨城県沖や,南海トラフから日向灘にかけての室戸沖や豊後水道沖で海山の沈み込みが議論されている.これらの海山の多くは,日本周辺に限らず,プレート境界型巨大地震の震源断層周辺に位置しており,地震時破壊の開始・伝播・停止との関係は,災害軽減の観点からも長い間重要な研究内容の一つである.
例えば茨城県沖に沈み込んでいる海山は富士山程度の規模を有すると考えられ,このような地形の高まりが沈み込むことによるプレート間固着状態に与える影響が大きいことは,想像に難くない.実際,海山の沈み込みは地殻構造も複雑にし,地震波構造調査などで沈み込み構造を高解像度で把握することは容易ではない.
本発表では,これらの沈み込んだ海山のうち,茨城県沖,豊後水道沖,およびヒクランギ沈み込み帯の事例について,その沈み込みの地殻構造や地震活動との関係に関する最近の研究を紹介する.