題目:新学術分野「バイブロニクス」の地球物理学への展開
要旨:
「フォノン」は、原子が規則正しく並ぶ結晶における弾性波や熱キャリアである。そして、結晶で成立するフォノン輸送に関する学問はフォノニクスとして深く研究されてきた。近年の複雑化、複合化した材料・デバイスにおける熱マネジメントの重要性から、フォノンのみならず、多様な固体および界面におけるエネルギー輸送についての包括的な学術の確立が必要である。
無秩序系、メタ次元構造、高分子、界面など、複雑かつ多様な系や非従来の次元性をもつ構造における振動の伝播とエネルギー輸送を包括的に扱う学術分野「バイブロニクス」を確立する。本分野の構築により、統一的かつ有機的に固体におけるエネルギー輸送の記述が可能になる。物理、化学、材料工学、デバイス工学など、理学と工学の多様な分野の研究者を集め、フォノンエンジニアリングを拡張することで、量子技術、先端半導体デバイス、熱機能材料・デバイスなどへの応用展開の基盤となる学術分野を開拓する。
今回のセミナーでは、バイブロニクスについてコンセプトをご紹介し、地震波をバイブロンと捉えることで、本分野を地球物理学にも展開できないか議論させて頂ければ幸いである。