本所永遠の使命


地震研正門脇のモニュメント


本郷通りから少し奥まったところにある地震研究所正門脇に、不思議なモニュメントがあります。その正体は、もうしばらく後で。 門を入ると、もっとも奥の真新しい建物が1号館です。エレベーターの前に立つと、ドアの上に1枚の銘板が掲げられており、次のような文章が刻まれています。開所10周年の年に、地震研究所設立に大きな役割を果たした寺田寅彦によって撰せられたものです。


 



寺田寅彦博士により起草された本所の使命


明治廿四年濃尾地震の災害に鑑みて震災豫防調査會が設立され、我邦における地震學の研究が漸く其緒に就いた大正十二年帝都並に關東地方を脅かした大地震の災禍は更に痛切に日本に於ける地震學の基礎的研究の必要を啓示するものであつた。この天啓に促されて設置されたのが當東京帝國大學附属地震研究所である。創立の際專らその事に盡瘁した者は後に本所最初の所長事務取扱の職に當つた工學博士末廣恭二であつた。其の熱誠は時の當大學總長古在由直を動かし、その有力なる後援と文部省當局の指示とによつて遂に本所の設立を見るに至つたのが大正十四年十一月十三日であつた。本所永遠の使命とする所は地震に關する諸現象の科學的研究と直接又は間接に地震に起因する災害の豫防並に輕減方策の探究とである。この使命こそは本所の門に出入する者の日夜心肝に銘じて忘るべからざるものである。
昭和十年十一月十三日 地震研究所




浅間火山観測所にて(1935)




石本式加速度地震計(水平動)




石本式水平振子シリカ傾斜計