所長挨拶

地震研究所は、地震・火山現象を科学的に解明し、それらに起因する災害の軽減に貢献することを使命としています。この使命を果すためには、地震・火山現象のみならず、その根源としての地球内部ダイナミクスまでも包括的に理解することが必要であることから、固体地球科学分野における様々な課題に対して、野外観測、室内実験、理論・計算科学等を結合した、多面的かつ最先端の研究を行なっています。

地震・火山研究を進める上で、大規模な観測・実験を行なったり、情報を共有・交流するなど、国内外の研究者との連携は必要不可欠です。地震研究所は、共同利用・共同研究拠点として、国の建議に基づいた「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」をはじめとする様々な研究プロジェクトを企画立案し、全国の研究者と積極的に共同研究を行なっています。そのなかには、歴史資料から過去の地震・火山活動を解明するための文理融合研究も含まれ、2017年4月には東京大学史料編纂所と連携して「地震火山史料連携研究機構」を設置するなど、研究体制の強化を進めています。さらに、アメリカ、フランス、イタリアなどの研究機関と学術協定を結ぶほか、国際地震・火山研究推進室を中心に、海外の優秀な研究者を客員教員として招聘し、新たな視点での国際共同研究を推進しており、国内外を繋ぐ研究ハブとしての機能を高め、地震・火山研究における国際拠点となることを目指しています。

地震研究所の教員は、大学院教育にも深く関わっています。地震研究所では、国際レベルにある最先端の研究活動を、身近な観測や実験を通して実感することができます。固体地球科学分野には数多くの未解決課題が残されていますので、是非、学生諸君と一緒に、膨大なデータから様々な発見を導き、地震・火山に関する理解を深めていきたいと思います。

地震研究所は、得られた成果を広く発信し、様々なレベルでの科学的関心や社会的要請に応えるとともに、大学附置の研究所として,将来を担う次世代研究者および社会に役立つ人材育成にも積極的に取り組んでいきたいと考えています.今後とも、皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。

小原 一成

沿革

地震研究所(以下、本所)は、大正14年(1925年)11月13日に創立された。それまで30余年にわたり日本の地震学発展に貢献した文部省震災予防調査会の研究業務は、このとき本所に引きつがれた。昭和3年(1928年)6月には、東京帝国大学(当時)の構内に、本庁舎が完成し、本所は、同大学附属の研究所として、その基礎を定めた。
第二次世界大戦の苦難の時期を経て昭和24 年(1949年)5月31日に、国立学校設置法が制定され、本所は東京大学附属の研究所となった。戦後の復興と共に、国内外の研究の進展にもめざましいものがあった。本所でも研究規模の増大に伴い、昭和45年(1970年)3月、農学部構内に新しい庁舎(現在の2号館)が建設された。

新庁舎完成以後、本所は地震学・火山学の基礎研究を行うとともに、わが国における地震予知・火山噴火予知計画を推進してきた。昭和54年(1979年)度には地震予知観測センターが地震予知観測情報センターに改組され、全国の大学の地震予知計画に係わる観測データの集積、整理、提供等による研究も行われるようになった。

全国の大学が合同で実施する海陸での観測、全国地震観測網のデータ流通やそれらに基づく各種プロジェクト研究などの、大規模研究計画を担う体制が必要となり、平成6年(1994年)6月、本所は、東京大学附置の全国共同利用研究所となり、4部門、5センター、2附置観測施設の組織となった。さらに、客員教授制が採用され、全国から研究協力者を集めた各種の共同研究が行われるようになった。

平成9年(1997年)4月には、国内外の研究者と共同して地球規模の観測研究する目的で、新たに海半球観測研究センターが発足した。

平成18年(2006年)には、免震構造を有する新庁舎(1号館)が竣工するとともに、旧本館(2号館)の耐震改修も行われ、首都圏周辺で大地震が発生しても継続的な観測・研究ができる体制が整った。平成21年(2009年)、地震予知研究と火山噴火予知研究の一層の連携のために、地震予知研究推進センターと火山噴火予知研究推進センターを改組して、地震火山噴火予知研究推進センターと、火山噴予知研究センターを発足させた。

平成22年(2010年)に、本所は全国共同利用研究所から、全国共同利用・共同研究拠点となり、高エネルギー素粒子物理学研究センターを含む4部門、7センターに改組し、多様で多面的な観測固体地球科学を、機動的で柔軟な組織によって推進する体制となった。

平成24年(2012年)、東日本大震災の教訓を踏まえ、理学と工学の連携強化を目的として、先端的数値解析を軸に据えた巨大地震津波災害予測研究センターが発足した。

平成26年(2014年)から開始した「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の推進のため、防災研究の拠点である京都大学防災研究所との間で拠点間連携が開始された。