金曜日セミナー(2024年5月10日)臼井 嘉哉(地震予知研究センター)

題目:いわき地域周辺の電気比抵抗構造

要旨:
福島県いわき地域では、2011年3月11日の東北太平洋沖地震の後、活発な地震活動が起きており、2011年4月11日には福島県浜通りを震源とするマグニチュード7.0の地震が発生した。地震の発生に地殻内の流体が重要な役割を果たしていることが明らかになってきており、地殻流体の存在に敏感である電気比抵抗に基づいた地殻構造推定がいわき地域周辺で実施されてきた。その結果、4月11日の浜通りの地震の震源域周辺では、地震の多くが高比抵抗域で起きていること、震源直下には低比抵抗域が存在することが明らかになっている。本発表では、はじめに電気比抵抗の特性と比抵抗構造探査手法を概説した上で、いわき地域周辺で明らかになっている電気比抵抗構造をレビューする。2011年4月11日の地震の震源周辺のローカルな比抵抗構造に加えて、いわき市から新潟市に至る島弧横断測線の比抵抗構造およびその南の那須岳、高原山を含むエリアの3次元比抵抗構造についても紹介する。