変位・速度・加速度について

変位とは、物体の位置のことです。
移動したり、振動したりする場合、その位置は時間とともに変動します。ですので「変位」と呼びます。

まず、エレベーターの例で考えてみましょう
エレベーターが同じ速度で移動しているとき、中にいる人は力を感じません。


このとき、横軸に時刻、縦軸に変位となるグラフを描くと

一定の傾きで変位が増えていくグラフになります。
変位のグラフの傾きを速度と言います。
(変位のグラフの傾きが急な程「速度が大きい」「速い」、傾きが緩やかな状態は「速度が小さい」「遅い」ということになります。
また、傾いていない=水平=傾きがゼロの状態は変位が変わらない=動いていない、ということになります。)

今考えている運動では、速度は一定なので、横軸に時刻、縦軸に速度となるグラフはずっと同じ値のグラフになります。

速度のグラフの傾きを加速度といいます。

今考えている運動では、速度が一定なので加速度はゼロです。
加速度のグラフはこのようになります。

このようにずっと値がゼロのグラフになります。

次は、エレベーターが動き出す時を考えてみましょう。
動き出してから等速になるまでの間は一定の割合で加速する(=等加速度運動)こととします。この間、中にいる人は加速度に比例した力を感じることになります。


今度は逆に加速度から考えてみます。


加速度は一定、ということにしたので、加速度のグラフは一定の値を示すグラフになります。

速度のグラフの傾きが加速度、ですので、速度のグラフは一定の傾きで大きくなるグラフになります。

そして変位のグラフは傾きがどんどん大きくなる、下のようなグラフになります。

一方向に動く運動の場合、変位-速度-加速度はこのような関係になります。


等速度運動

等加速度運動

振り子の場合

次に振り子のように行ったり来たりする運動を考えてみましょう
振り子の場合、変位は振り子のふり幅の範囲に収まる波の形になります。

このとき速度(上のグラフの赤矢印の傾き)はどうなっているでしょうか?

振り子が端にあるとき、変位のグラフの傾きはゼロです。つまり速度はゼロです。

振り子が中央にある時に傾きが一番大きくなります。
上に向かうときは上に向かう速度が最大、下に向かうときは下に向かう速度が最大となります。
(上に向かうときをプラスとすると、下に向かうときはマイナスの値となります。)

その間は徐々に速度が変化していき、こんなグラフになります。

加速度は速度の変化なので、速度のグラフから同じように考えて、加速度のグラフを描いてみるとこのようになります。

このように、振り子の場合は、変位-速度-加速度のグラフはいずれも同じような波の形をしていますが、最大になるタイミングがずれています。

振り子の周期が異なる場合

更に、同じふり幅の振り子で、周期(行って帰るまでの時間)が異なるものを考えてみましょう

周期が短い場合、振り子が中央にある時の変位の傾きは、周期が長い場合に比べて大きくなります。つまり、周期の短い振り子運動は速度の最大値が大きくなります。

周期が長い振り子運動

周期が短い振り子運動

同じように速度の波形を加速度に変換すると、振幅の差は更に大きくなります。

変位振幅が同じで周期が10倍違う振動の場合、速度振幅は10倍、加速度振幅では100倍の違いが出てきます。

そして、実際の地震には色々な周期の振動が混ざっています。

…ということを踏まえて、地震波形はなぜ速度や加速度なのか?を考えてみましょう

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