2018年1月23日 草津白根山(本白根)噴火

ウェブサイト立ち上げ:2018年1月29日
最終更新日:2018年1月30日

2018年1月23日、群馬県にある草津白根山が噴火しました。ここでは、その後の現地調査についてをご報告します。


草津白根山2018年1月23日噴火の火口分布の再検討

概要: 2018年1月23日に噴火が発生した草津白根山で1月28日午後にヘリコプター(読売新聞社機)から撮影した写真を検討した結果、鏡池北火口北側の火口列,西側の火口に加えて、鏡池火口底中央西側にも新たな火口列(長さ約100m)が認められた。

・  鏡池火口には火山灰の堆積や投出岩塊によって生じたインパクトクレーターが多数認められる。

・  インパクトクレーターが密集する範囲のほぼ中央部に少なくとも4つの凹地が認められ、ほぼ直線上(北西—南東)に配列する。

・  大きい火口で15m x 10m、長いもので20mの大きさを持ち全長約100mに達する。インパクトクレーターの分布、堆積した火山灰の色合い、火口地形の新しさから、鏡池火口底の火口列は1月23日10時過ぎからの一連の噴火活動によって生じたものと考えられる。

※  報道関係の方へ:撮影には読売新聞社の協力を得ています。写真の引用については、読売新聞社にお問い合わせください。

図1 草津白根山鏡池及び鏡池北火口。鏡池火口底中央西側にも火口列が見つかった。
図2 鏡池火口底中央西側の火口列。左は図1の拡大。右は東側から撮影。黒矢印は小火口。雪崩は噴火直後に発生したと考えられる。

(火山噴火予知研究センター:中田節也)

(協力:読売新聞)


草津白根山(本白根)2018年噴火の上空観察

概要: 2018年1月23日に発生した草津白根山(本白根)の噴火を受けて、1月28日午後にヘリコプター(読売新聞社機)による上空からの観察を行った。鏡池北火口北側に形成されたほぼ東西に延びる火口列(少なくとも6つの火口)のほかに、西側にも、ほぼ南北に延びた形状の小火口が形成されていることを確認した。また鏡池北火口北側の火口壁には、倒伏した樹木片群を覆う火山灰を主体とした堆積物(最大層厚1.5 m程度)が認められた。

  •  1月28日13:35-14:25にヘリコプター(読売新聞社シリウス)により本白根山鏡池北火口および周辺域を観察し、1月23日噴火による火口列および火山灰の堆積状況を観察した。
  •  鏡池北火口北側を主とし、東西方向に伸びる火口列(少なくとも7つ)を確認した(図1)。
  •  このうち最も西側の火口(図2)は概ね南北に伸びた15 m×5 mほどの形状で、火口内には黒色の堆積物が認められた。
  • 鏡池北火口北側の火口壁では,灰褐色火山灰を主体とした堆積物が最上位を構成し、倒伏した多数の樹幹や枝を覆う(図3)。下位には旧地表の土壌と考えられる褐色の堆積物が存在することから、樹木片より上位の地層は今回の噴火の堆積物(最大層厚1.5 m程度)と考えられる。

※  報道関係の方へ:撮影には読売新聞社の協力を得ています。写真の引用については、読売新聞社にお問い合わせください。

図1 本白根山鏡池北火口北側および西側に形成された火口群の状況。
図2 鏡池北火口西側に形成された小火口(W,15 m×5 mほどの大きさ)の拡大。北半分は黒色の堆積物に埋められている。周辺にはこの火口形成時に放出されたと考えられる岩塊が散在する。
図 3 火口壁の状況。最上位層の堆積物底部に倒伏した樹幹や枝が濃集する(最大層厚1.5 m程度)。さらに下位の褐色土壌層との間が旧地表面と判断できる。(協力:読売新聞)

(火山噴火予知研究センター:前野 深)


火山噴火予知連絡会拡大幹事会への提出資料

拡大幹事会2018年1月26日(PDF)

※  報道関係の方へ:撮影には朝日新聞社・共同通信社の協力を得ています。写真の引用については、朝日新聞社・共同通信社にお問い合わせください。