3.12.6 巨大地震・津波の研究

津波データや測地データ,地震データを用いて,世界の巨大地震の断層運動の詳細や津波の発生過程について調査している.2004年スマトラ・アンダマン地震(Mw 9.2)について津波の分散性を考慮した再解析を行ったほか, 2018年スラウェシ地震(Mw 7.5),2021年アラスカ沖地震(Mw 8.2)などについて,主に津波データから断層面上のすべり分布の推定を行った.日本周辺における遠地津波について,沿岸と沖合の波形の後続波を調べ,沿岸の後続波は大陸棚や湾の影響を強く受けていることを明らかにした.

日本海東縁部で20世紀に発生した大地震について,日本海地震・津波プロジェクトで津得られた断層モデルからの津波波形を観測波形と比較して,起震断層を推定した.また,断層パラメータの相似則やすべり角の不確定性が確定論的津波予測に及ぼす影響について調べた.

S-netなど沖合で記録された津波観測波形による津波予測手法について研究を行っている.日本海溝・千島海溝における想定地震からの人工的な波形を使って沿岸での津波高や浸水域を短時間で予測する方法について検討を行ったほか, 2016年福島県沖で発生した地震からの実データを用いたデータ同化の実証を行った.