1. はじめに

   本年報では,東京大学地震研究所の2021年度における研究・教育活動の全般について報告します.地震研究所は,教員が約70名,研究員が約30名,大学院生が約70名,その他のサポートスタッフが約80名いるという,地震学・火山学では,世界でも有数な規模の研究所です.これらのメンバーによって行われている幅広い研究や教育などに関する活動をまとめたのが,この年報です.部門・センター毎に主な研究成果をまとめてあるのに加えて,教員・研究員・技術職員毎に研究成果・学会活動・教育社会活動が列記されています.

 地震研究所は「世界の地震研」を目指し,海外の26研究機関と協定を結び,定期的なワークショップやサマースクールを開催しております.また「社会の中の地震研」として,ホームページ,学会等でのブース出展,一般公開やラボツアーなどの広報アウトリーチ活動も行っており,それらについてもまとめられております.

 2021年も前年に引き続き新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のため,野外や海外での調査・観測,国際交流,広報アウトリーチ活動は大きな影響を受けました.特に,外国人研究者の招聘や海外における共同研究や現地の学会への参加が激減しました.一方で,国際・国内学会へオンラインで参加したり,サマースクールやインターンプログラムなどもオンラインで実施して,より多くの方に参加して頂いたりなど,インターネットを活用した新しい研究や教育のスタイルが定着してきました.広報アウトリーチ活動についても,一般公開やマスコミや自治体の防災担当者などとの懇談会をオンラインで行うことにより,参加者は全国に広がり,地震研をより広く知って頂くことができました.

 東京大学の部局間連携研究機構としては,地震研が主管部局である地震火山史料連携研究機及び国際ミュオグラフィ連携研究機構のほか,次世代ニュートリノ科学連携研究機構,海洋アライアンス連携研究機構,災害・復興知連携研究機構,デジタル空間社会連携研究機構,次世代都市国際連携研究機構に参画し,他部局,他分野との分野横断的な研究を行っております.

 地震研究所は「地震・火山科学の共同利用・共同研究拠点」として文部科学省から認定を受けておりました.2021年度は第3期中間計画(6年間)の最終年でしたので,期末評価を頂いた結果,第4期中期計画(2022年度~2028年度)でも引き続き,共同利用・共同研究拠点として認定されました.また,建議に基づく「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」については2019年度からの始まった第2次計画の3年目となり, 実施状況のレビューが行われ,次期計画への準備が始まりました.