2018年インドネシア・クラカタウ火山噴火・津波

2018年12月22日(現地時間21時頃, UTC14時頃),インドネシア・ジャワ島とスマトラ島に挟まれるスンダ海峡において津波が発生し,クラカタウに近い沿岸域において大きな災害が生じた。噴火活動を続けているアナク・クラカタウ島の南西側が大きく崩壊している様子が明らかになったことから,津波はこの火山島の山体崩壊に伴い発生したと考えられている(PVMBG*1)。
アナク・クラカタウ島では現在も噴火活動が続いており,その推移が注目される中,今回の崩壊イベントにおける崩壊量や崩壊プロセス,沿岸への津波の伝搬過程,さらにこれらと噴火活動との関係は,日本国内の類似事例の理解を進めるためにも早急に解明する必要があろう。そこで,アナク・クラカタウ島の崩壊と周辺への津波伝搬のシミュレーションを行ったので,その暫定的な結果について報告する。アナク・クラカタウ島は,1883年の巨大噴火で形成されたクラカタウ・カルデラの北東縁に成長した新しい火山島である(Fig. 1, 2)。 崩壊前は,東西2.1 km,南北2.3 kmの大きさで,標高300 mを超える中央火砕丘と山麓にかけて広がる溶岩流からなる島であった(Fig. 3)。山体南西斜面は水深約270 mのカルデラ底まで続き,急峻な地形をなしていた。今回の崩壊はこの南西側で発生し,山頂を含む島の約半分が失われたと考えられる。

詳細については,火山噴火予知研究センターのページをご参照ください.