現代アーティストMarianna Christofidesの作品に協力

ベルリンを拠点としている現代アート作家マリアンナ・クリストフィデスは、ゲーテ・インスティチュートの招聘アーティストとして日本に滞在中、日本の地質学的特徴について調べており、地震研究所も協力しました。

2022年3月よりMumok(ウィーン・ルートヴィヒ財団近代美術館)にて、マリアンナ・クリストフィデスの作品の一部が上映されます。


Mumok website: exercises in becoming uncertain | mumok
Marianna Christofides:https://www.onassis.org/people/marianna-christofides

mumok flyer

下記:地震研内での撮影時の写真

地震研タブレット:地震研での研究を短くまとめたものや震源分布などのデジタルコンテンツを収納したタブレット

地震研タブレット:地震研での研究を短くまとめたものや、震源分布などのデジタルコンテンツを収納したタブレット。

仕様:Windows 10Pro
既存コンテンツ例:地震・火山・津波の各研究紹介/地震観測点マップ/3D震源地図/鯰絵・古地図のデジタル画像/動画など.

目次画面

東京都現代美術館の展示に貸し出しした際の写真。タッチパネルを触って、興味のあるコンテンツを見ていただきました。

Mini-Seis“ミニサイズ” :地震波発生装置のミニチュア版(Miniature Seismic-wave Demonstrator)

Mini-Seis “ミニサイズ” :地震波発生装置のミニチュア版(Miniature Seismic-wave Demonstrator)

地震のP波(primary wave)、S波(secondary wave)を視覚的に見ることが出来る地震波発生装置。

従来のものはサイズが大きいため、持ち運ぶことが出来なかったのですが、この度、軽量で折りたためる物が完成いたしました。出前授業や学会での展示などで、地震波について説明する際に役立ちます。観測開発基盤センター新谷教授による解説書付きです。
貸し出しのご希望は、「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。


■使い方・地震波についての説明書(PDF)

専用アタッシュケースに入れた状態で貸し出し出来ます。

■写真をもっと見る:「ミニチュア地震波伝搬装置が完成」https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/gallery/7184/

長周期地震動の模型

長周期地震動の模型

様々な周期をもつ揺れ(地震動)を視覚的にみることができる模型です。
規模の大きい地震が発生すると、周期の長い ゆっくりとした大きな揺れが生じ(長周期地震動)、高層ビルは長く大きく揺れます。

■使い方・地震の揺れと建物の共振実験についての説明書(PDF)

(分解して持ち運び可能)

世界震源地図(英)とペンタグローブのデータを更新

東京カートグラフィック社と共同で製作している「震源地図」シリーズのうち、「世界震源地図英語版」および「ペンタグローブ(ペーパークラフト地球儀)」を、この度データ更新いたしました。「世界震源地図英語版」は2011-2017年、「世界震源地図ペンタグローブ」は、2009年から2017の間に起きたM5以上の地震がプロットされています。

このシリーズの「世界震源地図クリアファイル」が、将棋の史上最年少プロ藤井四段に師匠の杉本七段から誕生日プレゼントとして贈られたことが最近話題となりました。藤井四段も使っている世界震源地図クリアファイルは、東京カートグラフィック社(https://www.tcgmap.jp/product/)またはUTCC(https://utcc.u-tokyo.ac.jp/user_data/shop.php)の店頭でご購入いただけます。

The English version of the “Seismicity  of the world”  is updated. Earthquakes above M5 between 2011-2017  are plotted. Pentaglobe is also updated with M5 and above that occurred between 2009-2017.

電気工作の設計図

感震器2018_ele_text
感震器2017_ele_text
板バネ式地震計2016_ele_text
磁気センサ2015koukaidenki
地震センサ2014koukaidenki
地震感知器2013koukaidenki
地震感知器2012koukaidenki
傾斜計2011koukaidenki

地震研究所では、毎年一般公開の際に、技術開発室による機械工作・電気工作体験教室が開催されています。その教室で過去に使用された「板バネ式地震計」や「感震器」等、プロの知恵がギュギュっと詰まった電気工作の、わかりやすい設計・工程をこちらで公開しています。教材の一助としてお役立ていただけます。

技術開発室:電気工作
(各ページ内左下に「テキストはこちら(pdfファイル)」とありますので、そちらからダウンロードしていただけます)

世界の火山・プレート地図 誕生

地震研究所のグッズに、新たな仲間が加わりました。世界の火山およびプレートの動く向きや速さを表した地図です。「国」ではなく、「プレート」という視点で世界を見ていただくものになっております。
今回も、「震源地図シリーズ」でお馴染みの東京カートグラフィック株式会社さんにご協力いただき作成しています。

8月に開催される、地震研一般公開等で配布される予定です。

詳しい説明をYoutube地震研チャンネルからご覧いただけます:

30秒間隔のキネマティックGPS座標値に含まれるマルチパスノイズの低減手法の性能

伊東優治・青木陽介(東京大学地震研究所)
On the performance of position-domain sidereal filter for 30-sec kinematic GPS to mitigate multipath errors
Yuji Itoh and Yosuke Aoki (Earthquake Research Institute, The University of Tokyo)
Earth, Planets and Space (2022) 74:23 https://doi.org/10.1186/s40623-022-01584-8

 
 GPSによって求められる地上のあらゆる場所の座標値とその時間変化(すなわち東西、南北、上下の各方向への地面の動き)は地震火山現象に伴う地殻変動観測の有用な手段として広く使われています。地殻変動に関する研究では多くの場合で1日間隔のGPS座標時系列データ(例えば国土地理院・電子基準点日々の座標値F5解)が使われていますが、キネマティック解析と呼ばれる手法を使うことで1日以下の間隔(1秒や30秒等)で座標値を決めることができます。そのような座標時系列は、巨大地震・大規模火山噴火の最中や直後の数日間に亘る速い地殻変動の進行過程の詳細な追跡に極めて有用です。しかし、座標値の誤差が数cm程度のため、小規模な地殻変動(1cm以下)の検出は難しいとされていました。
 キネマティック解析による座標値決定(キネマティックGPS)の主要な誤差源の一つは「マルチパス」です。GPSによる座標値の決定では、衛星から伝搬する電波を用いて複数の衛星と地上観測点間の距離を計測します。その際、最短距離で観測点へ届く電波に加えて、観測点周辺の地面や建物、樹木等で反射されることで「遠回りした」電波(マルチパス)が生じ、両者を同時に観測してしまうことで観測点の座標値に誤差が生じます。マルチパスの影響は衛星、観測点、反射体の位置関係に依存するため、衛星の周回周期に基づき座標時系列の時間的な差をとること(サイドリアルフィルタ)で低減できます。本研究では小規模な地殻変動の検出への適用を目標として、もう一つの主要な誤差源である大気遅延の影響が無いと見なせる環境において、マルチパスの特性の検討とサイドリアルフィルタの性能評価を行いました。
 異なる期間に観測された座標時系列データ間の相関係数を解析し、マルチパスによる座標値のばらつきは比較的長周期(500-1000秒以上、10万秒以下)に現れ、短周期帯域でのばらつきの時間的な再現性は乏しいという結果が得られました。実際にサイドリアルフィルタを適用したところ、こうした長周期の座標値のばらつきをうまく除去できました(図中の左側と中央のパネル)。また、短周期成分を除去したサイドリアルフィルタを使う場合、除去しないものを使う場合と比べて、フィルタ適用後の座標値のばらつきがわずかに小さくなり、パワースペクトル密度に見られる短周期成分のノイズレベル上昇を避けられました(図中の右側のパネル)。
サイドリアルフィルタ適用後の座標値のばらつきは数㎝から6 mm以下に改善されました。標準的な解析設定で得られるキネマティックGPS座標値のノイズレベルの概ね最小値であると考えています。この値は、キネマティックGPS座標値を用いた地震、火山現象に伴う地殻変動の検出に関する研究を計画する上で参考になると考えられます。



図. (左)キネマティックGPS座標値のばらつきを色で示したもの。上段、中段、下段に異なる基線(2つの観測点のペア)の結果を示します。左列、中列、右列に南北、東西、上下成分の結果を示します。赤色が濃くなるほど北向き、東向き、上向きの見かけ上の座標値の変化があったことを示します。反対に青色が濃くなるほど南向き、西向き、下向きの見かけ上の座標値の変化があったことを示します。また、解析から除外した座標値を緑で示します。基線の長さの時間変化がないと仮定できることから、これらの図は白色で一様に塗られることが想定されていましたが、実際は座標値のばらつきによりそうなっていません。(中央)サイドリアルフィルタ適用後の座標値のばらつきを色で描いたもの。ばらつきが小さくなった結果、図の色が薄くなっています。(右)サイドリアルフィルタ適用前後のパワースペクトル密度。適用後(緑と赤)では、適用前(黒)のスペクトルのうち、500秒よりも長周期側に見られた多数のピークのうち大半が消えています。一方で、サイドリアルフィルタに含まれる短周期成分を除去しなかった場合(緑)は、除去した場合(赤)と比べて短周期側のパワースペクトル密度が大きくなっており、ノイズレベルの上昇を示しています。